死にたくない、このまま海の中にいれたらどれだけ ページ10
父が私を殺すと言った、聞こえてしまった。
このままでは金の無駄だと殺した方が良いと。
私は父にだけは愛されていると、そう思った。
こんなにも早く終わりが来るなんて。
午前3時。
水槽に氷水を入れ、マーマンを入れると荷台を押して駆け出した。
私が死んだら、このマーマンは売られるだろう。
病に効かないくせに、私の時みたいに食されるだろう。
皮は財布にでも変えられるに決まっている。
馬車にでも乗せようかと思ったけれど、できないと思った。
この屋敷には、もう誰も味方なんて居ない。
朝になったら殺される。
偶然なんかじゃない。
心臓がうるさい、こんなに走ったこと無い。
肺が痛い。
破れてしまいそう、痛い、痛い、痛い！
「もう走らないで、ここからは僕だけで行きます、そもそももっと効率の良い方法がたくさん」
「私の良心だから放っておいて」
息も切れ切れで私は駆ける。
嵐は酷い。
風は痛いし、耳が千切れそうな程に冷たい。
体中が痛い、雨が段々と雹になっていく。
それでも走った、どうか死なないで私の良心。
お願いだから、凍えたままでいて。
死にたくない、そのままでいて、私は。
「A！！」
砂浜をと陸を繋ぐ階段からジェイドを放り投げた。
私に力は無いので、ジェイドは私の膝が浸かるくらいのところで飛沫を上げて海水に浸かった。
終わったと。
失敗したなと思った。
もつれた足が水槽を巻き込んで滑り落ちる。
水槽の中の水は砂の上で広がり、水槽のガラスは雪の様に舞って砂浜に溶け込んだ。
私はようやく咳込んで異物を吐いた。
真っ赤なものが羽とともに出てきた。
体の反射が呼吸を許してくれない。
ああ、やっぱり医者の言う通り。
海からジェイドが見える。
この人魚お金で買ったマーマン。
罪滅ぼしのための、偶像を重ねたマーメイド。
綺麗なマーメイド。
私の
「にんぎょひめ」
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ぱりす(プロフ) - 妖々梅雨里さん» コメントありがとうございます、諸事情によりこちらの垢で返信させていただきます、尊敬していただき、恐縮です…！ (2020年10月11日 19時) (
レス) id: be542bd55e (このIDを非表示/違反報告)
妖々梅雨里(プロフ) - 悲哀物語……なのでしょうか。 最後の羽の表現に心引かれました。私、そういう類いの表現が死ぬほど出来なくて…尊敬します。 (2020年10月11日 18時) (レス) id: f5b2ce54f6 (このIDを非表示/違反報告)
ぱりすめん(プロフ) - せら。さん» コメントありがとうございます、私あの作品が好きで好きで…嬉しいお言葉、ご愛読ありがとうございました！ (2020年8月17日 23時) (レス) id: be542bd55e (このIDを非表示/違反報告)
せら。(プロフ) - 元となる作品を読んだことがあったので、とても楽しく読むことができ、それと同時にとても切ない気持ちになりました…とても良い作品でした…！！！ (2020年8月17日 23時) (レス) id: 1c6535be80 (このIDを非表示/違反報告)
ぱりすめん(プロフ) - やきそばさん» えっ、ご存知で！？そのとおりです！私あの作品が本当に大好きなんですよ！気づいてくださりありがとうございますうわあああああ（超うるさい） (2020年8月14日 19時) (レス) id: be542bd55e (このIDを非表示/違反報告)
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