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君だけにはナイフをあげないでいよう ページ4

それからというものジェイドは私に病気の事について沢山聞いた。


治るわけもないし治らない。

それを面白がって聞いた。


「私だけだよ、こんな病気になったのは」


「それが、貴方の父の飼っていた鳥のせいなんですか」


「うん」


魔法を貯蓄して生きるカポリアという鳥、人に対して非常に友好的で私に対しては求愛ダンスも踊って来た鳥だ。

私の肩で踊ったかと思うと私に何かかけたのだ。

父は急いで私の口内を確認した、父は焦っていた。


私の口内にはその鳥の種が入ってしまい、5日間も高熱にうなされ、皮膚や臓器にまで羽が生えるという恐ろしい病にかかったのだ。


私が食べた人魚は4人。


ひとりは私が4歳のとき。


ふたりは私が10歳のとき。


もうひとりは私が13歳のとき。


全員名前も知らない。


けれど最後は。


『この世界に私、飽きていたの!人魚が効くかは分かりませんけど、どうぞ残さず食べて欲しいわ』


金色の髪、眩しい赤の人魚。


私は言われた通りすべて食べた。


すべて。


すべて。


「オエッ、うぅ、お…」



『ごめんなさいね、人魚が、マーメイドが本当に病に効いたら良かったのに』



髪の毛を口にして嗚咽を漏らす私に対して人魚が言ったことだった。

今はもういない人魚。

無邪気な。



『お願い!私虹が見てみたいの!大きく空にかかるものよ!』



「何を泣くことがあるんです」


お前には分からないよ、私の気持ちなんて。


顔を隠して、うるさい、とだけ言うけれどあんまりみっともないからか鼻で笑われてしまった。


「血も涙も無いと思っていましたよ、なんせ人魚を食べるんですから…髪まで食べるなんて恥を母親の腹に置いてきたんですか」



うるさい。



「僕は貴方を許しませんよ、人魚が4人も犠牲になりましたし、僕を海にまだ帰さない」



うるさい



「まだ治りたいと思っているんでしょう」



「うるさい…」


声として出てきたのは烈火のような憎しみでは無く、フィルターの音で消えそうな言葉だった。


ああ、憎い、苦しい。

そんなの私だってしたくなかった、私は、私は助かりたくて

私だって好きでこんな病気に


「じゃあ殺せば、いい、じゃない」


「言われなくてもしますよ」



そう言うとマーマンは私を塩水の中に引っ張り込んだ。

水中から紫色のライトが見える。


ああ、何だ随分狭いじゃない。

私、広いとばかり。


「人魚が本当に病に効けばよかったのに」


思ってた。

死ぬのが怖いわ→←冬は寒い、それは胎児も分かることだ



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ぱりす(プロフ) - 妖々梅雨里さん» コメントありがとうございます、諸事情によりこちらの垢で返信させていただきます、尊敬していただき、恐縮です…! (2020年10月11日 19時) (レス) id: be542bd55e (このIDを非表示/違反報告)
妖々梅雨里(プロフ) - 悲哀物語……なのでしょうか。 最後の羽の表現に心引かれました。私、そういう類いの表現が死ぬほど出来なくて…尊敬します。 (2020年10月11日 18時) (レス) id: f5b2ce54f6 (このIDを非表示/違反報告)
ぱりすめん(プロフ) - せら。さん» コメントありがとうございます、私あの作品が好きで好きで…嬉しいお言葉、ご愛読ありがとうございました! (2020年8月17日 23時) (レス) id: be542bd55e (このIDを非表示/違反報告)
せら。(プロフ) - 元となる作品を読んだことがあったので、とても楽しく読むことができ、それと同時にとても切ない気持ちになりました…とても良い作品でした…!!! (2020年8月17日 23時) (レス) id: 1c6535be80 (このIDを非表示/違反報告)
ぱりすめん(プロフ) - やきそばさん» えっ、ご存知で!?そのとおりです!私あの作品が本当に大好きなんですよ!気づいてくださりありがとうございますうわあああああ(超うるさい) (2020年8月14日 19時) (レス) id: be542bd55e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぱりすめん x他1人 | 作者ホームページ:http:  
作成日時:2020年8月8日 0時

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