ラウンド8☆夢主視点☆ ページ9
川が、目の前に流れていた。
向こう岸までの距離はそこまで長くなく、流れは緩やかだ。
そう言うと普通の川の様に聞こえるが、目の前を流れる川はこれまで見た景色の中で一番美しいものだった。
きらきらと光を反射する水面はどこまでも透き通った水色をしており、水の流れる静かな音色は聞いていてとても心地が良い。
無意識のうちに川に足を入れる。
適度に冷たく、このまま吸い込まれてしまいそうな程に気持ち良い。
そうだ、向こう岸まで渡って仕舞おうか。もっと綺麗な景色が待っているかも。
ちゃぷ、ちゃぷ、と水を足首で退けながら川を渡る。
中間辺りまで来た頃だろうか。向こう岸に何かがぼんやりと見える。
目を凝らしてみた。
何かが、こちらに向かって手招きしている。
誰だろう。
勝手に足取りは軽くなり、水を蹴ってどんどん進んで行くと、その手招きしていた人物の形が徐々にはっきりとしてきた。
それを見て、Aは目を大きく見開いた。
「…お母さん…!」
母親。
今の母親ではない。
幽霊だった頃の母親だ。
あの着物は絶対にお母さんのものだ。
もう二度と会えないと思っていたのに!
川の流れに足を取られそうになりながらも、母親の元へ懸命に走る。
更に近付いてから母親の顔をもう一度見た。
その顔は、猫の形をしていた。
「えっ」
足が急に、川の底に吸い付いたように動かなくなる。
母親だと思っていた、頭だけが猫の人物は手招きをしながら一声鳴いた。
「ナーォ…」
「…あああああああああああ!!!!!!ままままま招き猫おおおおおおおおおおおぉぉぉっ!!!!!?」
勢い良くAは起き上がった。
目の前には、川も母親も猫もなかった。
ただ視界に入るのは、大広間の壁とぽかんとした顔の青年達だけだった。
「…招き、猫?」
長い黒髪を一つに結んだ赤い瞳の青年が、薄ら笑いを浮かべながら呟いた。
つい叫んでしまった言葉に、Aの顔は一気に紅潮する。
「あ、いやちょっと、変な夢見て…って、あれ?ここあれだよね、本丸の一番広い部屋。私何でこんなとこで普通に寝てんの?」
すると、目の前の青年も周りの青年達も、その場が凍り付いてしまったかのようにぴたりと表情を固めた。
〜追記〜
数学X赤点でした(白目
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そると(プロフ) - ナツカさん» 一応この物語は完結したら少しいじってpixivの方にも載せたいと思っております!最後になってしまいましたが、これからも楽しく、張り切って書かせて頂きますのでよろしくお願いします♪ (2017年10月8日 23時) (レス) id: 762ecccfb8 (このIDを非表示/違反報告)
そると(プロフ) - ナツカさん» うわああああこんなに褒めて頂けるとは…(´ノω;`)ウレシイ…!!!大体の結末は考えていますが、自分は気分屋なので今とはガラッと変わるかもしれませんね( ˇωˇ )あと現在はもう受験を終えて高校一年生やってます…紛らわしくて申し訳ありません(汗)→ (2017年10月8日 23時) (レス) id: 762ecccfb8 (このIDを非表示/違反報告)
ナツカ(プロフ) - 長文、大変上からの無礼な感想誠に失礼いたしました。ただ、是非完結まで追いたいです。占ツクをやって3年近くたちますが、1番と言っていい程楽しめる作品です。勉強との両立、大変だと思われますが、ご自愛のもと、どうかこの素晴らしい作品を書き上げてください!!! (2017年10月8日 22時) (レス) id: 0606ce557e (このIDを非表示/違反報告)
ナツカ(プロフ) - 先が読めなくて、主人公と刀剣がどう和解するのか、はたまたバッドエンドなのか、予想がつかず妄想が膨らみ大変ワクワクします。本当に、もっと評価されるべきです、何故HIT数がこんなに少ない……! 正直占ツクよりも、pixivなど年齢層の高い場所で受ける作品かもです (2017年10月8日 22時) (レス) id: 0606ce557e (このIDを非表示/違反報告)
ナツカ(プロフ) - ギャグも、キャラをよく理解しかつ自分の中でキャラを動かせてるのだと思います。違和感なく楽しめます。受験生ということでしたが、高校3年生ですか? その年でここまで書けるのは、脱帽、尊敬に尽きます。結末までの構想は練ってあるのですか? 続きが気になります (2017年10月8日 22時) (レス) id: 0606ce557e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:そると | 作者ホームページ:
作成日時:2017年5月6日 18時