銃で繋がる兄妹 ページ10
「春原以来…もう7年ぶりと聞いた」
「そうだね。市民の中からこうも少ない種類を見つけ出すってのは…砂漠から色のついた砂を二、三粒探すレベルだし」
「…なら、それくらい希少種の双葉Aをどうやって見つけたの、と聞いている」
喉から手が出るほど、欲しがっていたものだ。
それが、その子が今、紅苹果にいる。
「…見つけたの、俺じゃないし…。ていうか本当に偶然だよ。俺らが彼女を選んだ理由は完全にその人柄だし」
「………なら金は払うわ。こっちに移動させてちょうだい」
「いやいや、健全な女子高生を殺し屋の道に送り込むのは気が進めないなぁ……ってね」
舌打ちが部屋に響く。
確かに煽り半分で言ったところはあったけれど。
「君みたいなクソガキは大っ嫌いだよ、あたし」
「俺もワガママなおばさんは嫌いかな。」
少しの沈黙。
それを破るようにつぶやく。
「……Aちゃんは普通の女の子だ。手を出したら容赦しない」
*****
「…起きたか」
「まぁ、見ればわかるんじゃない?」
ゆっくりと起き上がった春日。
いてて、と小さく声を漏らす。
その表情はどこか清々しい。
「……真紅なんてやめてやりたかった、って…さっさと言えば良かったろ」
「お兄ちゃんが弱音吐けるわけねーだろー。」
ペットボトルを渡すと、小さく礼を言ってから水をゴクゴクと飲む。
「そういうもんか」
「いや、そりゃ兄妹の関係にもよるけどさ。少なくともうちは、ってだけ」
3分の2になったペットボトルをじっと見つめている。
「……夕日は双葉と正局本部。真夏さんは真紅本拠地。あとは通常通り」
「見事に流したなぁ。でも…そっか、双葉となら大丈夫そうか」
「……」
昨晩のこと、実際にここにいたわけではない自分には状況はあまりわからない。
…が、この兄妹の関係性については割と知っているつもりだった。
見た感じ、兄が妹を支えている図。
あまり彼らを知らない奴からすればそうとしか見えないだろう。
でも実質は違う。
才能に溢れた妹。努力を欠かさない…欠かせない兄。
それが実情だ。
「俺がどれだけ必死に銃を握っても、夕日は_____…」
夕日は。
そういってから紡がれない言葉。
「でも、いつでも一緒にいたのはお前らだろ」
「……」
いつだってそばにいたのは、お前らだけだろ。
……変えられるのは、お前らだけだ。
言おうとして、やめたのは。
…こいつの心情と、多分同じだ。
*****
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リナ@オリ垢(プロフ) - 星雲さん» コメントありがとうございます!めちゃくちゃ嬉しい言葉です…!頑張ります! (2019年3月11日 13時) (レス) id: 4ca9bb93a1 (このIDを非表示/違反報告)
星雲 - すごく面白い!私は真夏さんが好きです!イラストも私の好みです♪更新頑張ってくださいね! (2019年3月11日 8時) (レス) id: 856336a373 (このIDを非表示/違反報告)
リナ@オリ垢(プロフ) - 如月 唯奈さん» コメントありがとうございます!はい、頑張ります! (2018年12月18日 20時) (レス) id: d33000d880 (このIDを非表示/違反報告)
如月 唯奈 - リナさん、初めましてっ!( ☆∀☆)面白かったです!私も殺し屋を主人公とした小説を作っています。更新頑張ってくださいね! (2018年12月17日 1時) (レス) id: 0a57facb33 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:リナ@オリジナル小説垢 | 作者ホームページ:http://uranai
作成日時:2018年11月25日 11時