いつかの正義に ページ11
パタリと扉を閉める。
……と、そこにいたのは女の子。
見た感じ高校生だ。蜜ちゃんやAちゃんと同じくらい。
「…あ、の……別に盗み聞きしたわけではなくて…」
「いや、別にそんな大した話………、したかも、だけど…」
「すみません…でも、いや、あの…」
二つに結った髪を揺らしながら、呟く彼女。
「…Aちゃんが特殊って、どういうことですか…?」
「!」
揺れる瞳。
不安が映し出されている。
「……あのさ」
「はっ、はい」
「所属書類の管理室ってどこにあるか、分かる?」
*****
「……つまり、Aちゃんは…。」
場所を選んだのは単純な話だ。
所属書類管理室は人が来ることが少ない。
真紅や紅蜂の本拠地に何度か足を踏み入れているからわかることだった。
「…本人には、まだ言ってないけどね。けど本人も、薄々気づいてる部分もあるんじゃないかな」
「……けど」
「そうだね。…彼女が想像しているレベルとは格段に違う。もうそれは才能とかで片付けられるレベルじゃない」
書類をファイルにしまい、小さく呟いた。
それから、ふぅ、と小さく息を吐いて 立ち上がる。
彼女の瞳は、相変わらず不安で揺れていた。
それを見てにこりと笑う。
「…でもそれは、きっと自衛の手段でもある。もちろん彼女は、それを正義のために振るう必要もあるけれど、」
「そう、…ですね。きっとAちゃんは」
「自分の正義だって見つけられる。」
*****
『ただいま帰りましたー…って、真夏さんも帰ってたんですね』
「うん!色々終わったよー。二人のこっちの移動も決まったし」
さらりと言われて硬直する。
こっち…というのは、考え過ぎでもなく紅苹果だろう。
「…石像かよ」
『いや、本当にびっくりして…。…ねぇ、夕日ちゃん?』
「へっ?…あ、はい!…その」
彼女の視線の先にあるのは、ソファーに座ってこちらを見る春日くん。
どこか申し訳なさそうな表情の彼と、気まずい空気。
「……夕日」
「…っ」
暖かい、柔らかい。
そんな声だった。…穏やかな表情。にこりと笑う。
夕日ちゃんは目尻を赤くして、それでも涙を流すまいとしていた。
「いつだって、私を守ってくれたのは誰がなんと言おうと春日です」
「……俺は、何も」
「隠していたって分かるものですよ…!貴方が足を失ったあのとき、その左目も失っていたことくらい分かっています!」
小さく、叫んだような声が響いた。
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リナ@オリ垢(プロフ) - 星雲さん» コメントありがとうございます!めちゃくちゃ嬉しい言葉です…!頑張ります! (2019年3月11日 13時) (レス) id: 4ca9bb93a1 (このIDを非表示/違反報告)
星雲 - すごく面白い!私は真夏さんが好きです!イラストも私の好みです♪更新頑張ってくださいね! (2019年3月11日 8時) (レス) id: 856336a373 (このIDを非表示/違反報告)
リナ@オリ垢(プロフ) - 如月 唯奈さん» コメントありがとうございます!はい、頑張ります! (2018年12月18日 20時) (レス) id: d33000d880 (このIDを非表示/違反報告)
如月 唯奈 - リナさん、初めましてっ!( ☆∀☆)面白かったです!私も殺し屋を主人公とした小説を作っています。更新頑張ってくださいね! (2018年12月17日 1時) (レス) id: 0a57facb33 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:リナ@オリジナル小説垢 | 作者ホームページ:http://uranai
作成日時:2018年11月25日 11時