放課後 ページ6
「じゃあ、6時にここで」
『うん。部活頑張ってね』
ゆづと待ち合わせ場所を決め、部活動へ向かう。
正直今日の一番の心配事はこれだ。
ゆづが かなり驚いていたというか…引いていたから。
「む。お前か、救護部の転入生」
『は、はい！双葉Aと言います！』
「ちょうどよかった。退部しろ」
…は？
もはや声すら出なかった。
それと同時に、ゆづが若干引いていた理由がわかった気がする。
『どうして、です…？』
「僕は真剣なんだ。部活などと名乗っているがいつかはここを出て医者になる」
『けど、部活と名乗っている以上入部は個人の自由ですよね…？』
ここを出ると言うのは、正染を抜けると言う事だろうか。
確か申請書を出せば脱退は可能だったはず。
だけどそれにも正当な理由がいる、はず。
「お前みたいな人間が大っ嫌いだ。面白半分でここに来るな。帰れ！」
無理矢理 部室への道を塞がれ、肩を掴み押し返される。
その表情は、ずいぶん苦しそうで。
『………違いっ、ます！！面白半分なんかじゃ無いです！！』
「……なっ…」
「ハイハイ、喧嘩やめようねぇ」
ニコニコと割って入ってきたのは浦田先生。
「よく僕の前に出てこれたな…浦田夏樹！！お前だけは許さない！」
『えぇぇぇ何ですか急に！？』
グッと腕を引かれ、押されていた方向とは逆方向＿＿＿…つまり、部室の方へ走る。
『いや、あの…っ、何ですかこの展開…！？』
「黙ってついて来い！」
＊＊＊＊＊
「……お前が、言い返すとは思わなかった。舐めていた。何も知らずに強く押し返した事、謝る」
『あ、いえ、平気です！』
部室の椅子に、三角座りで座っている彼女。
私が返事すれば、チラリと私を見てから再び膝に顔を埋めた。
「浦田夏樹は紅蜂の参謀位置にいる男だ。僕は奴に誘われて正染に入った」
『え、先生も…？』
「全員正染の人間というわけでは無いがな。少なくともあいつはそうで…私はここに来たせいで夢を追えなくなった」
夢。
彼女ほどの強い想いはなかったにしろ、私も彼女と同じ夢を、想い描いていた。
私は、立派な母親に憧れて、医者を夢見たから。
「正染というのはいわば本業。医者や警察を副業にするのは不可能に等しい。お前の所属している組織の大人も、サラリーマンかOLか…あとは大学生くらいだろう？」
『たしかに、そうです』
だけど…どうしてだろうか。
浦田先生のことを知ったのは今日だけど、
何か理由がある気がする。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 12人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：リナ@オリジナル小説垢 | 作者ホームページ：http://uranai
作成日時：2018年7月15日 12時
