〈オリジナル〉殺し屋系グループでドSな相棒が出来たのですが。

【番外編3】新人いびり ページ43

「とーーおーーるーー！！」

「帰った」

『どうかしたんですか？』


某日。
夜、お風呂上がりの真夏さんが駆けてきたのだ。
彼の額の、長い前髪を止めているピンは銀色のオシャレなものに変化していて。

「ミュウちゃんのピンがないの！」

『え、あの不細工なウサギ ミュウちゃんって言うんですか』

「ミュウミュウ鳴くからね」


かなり棒読みの惠さん。
ていうかウサギって鳴きませんよね普通。

「透呼んだの、やっぱアイツから貰ったやつだから？」

「ん、そう。予備も纏めて無くなっててさ…」


彼は顎に手を当てて、考え込むようなポーズをした。
そして惠さんは思いついたように棚からある物を取り出した。


「これで代用しなよ」

差し出されたのは牙の鋭いクマのピン。
牙には赤いものがついていて、ファンシーだが子供向けとは言えないデザインだ。

というか、代用ならすでに銀色のピンでしていると思うけれど…。


「か……可愛い…っ！」

『どういう感性してるんです！？』


早速付ける真夏さん。
まぁこの人がいいなら…良いけども…。


「……ぐっ！」

「どうした真夏！」

『惠さん悪ふざけも程々に…』


構うのも面倒だが、なかなか逃げられそうにないので会話を聞いてしまう。

「ウサギのピンで魔力を封じていたから…発作が…！」

「クソ、これだから二級品は！」

『……』

どう返せばいいかすら分からず、冷めた目で一部始終を見守る。
とりあえず立ち去ると真夏さんが拗ねそうだけど。


「A……ちゃ…っ、最後に、…透に伝言、を……」

『はいはい 何ですか』

「……昨日借りた五百円、返すの来月で良いですか」

一瞬硬直してしまった。
息すら止まった気がする。

『…いや、それは直接…』

なんとか笑顔を保って返そうとするが…



「新人ちゃん、真夏の“ミュウちゃん”のピン間違って捨てたのバラされたーい？」


と。
小声で告げられる。



『透さんですね。ラインで連絡します』


新人、脅されました。



＊


後日、3人まとめて怒られた(惠さんは何故かほとんど回避していたが)のは言うまでもないことだろう。

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