【番外編2】真夏<透<惠<伊月 ページ42
その日、時刻は十二時を指す頃。…事務所にはAちゃんが眠っているだけの部屋となっていた。
*
「あぁー疲れたぁ〜。」
もう真っ赤な真夏の顔。
酒が随分と回っている。
「まだ3杯目じゃん。弱すぎ」
「惠くんが強いのよ…。私も普段ノンアルばっかだから結構ヤバいかも…」
「ヤバイのは酔った後でしょ」
と、言いつつさらにコップを傾けた。
月に一回、このように成人組で呑んでいるのはもはや恒例行事と言っていい。
…だが。
「おぉ、やってるねぇ。そんで相変わらず酔いまくってるね、お兄さん」
「げ」
「んぅ…?いっちゃん…?」
「…いつも同じ面子だと飽きるし、たまにはと思ったのだけど…惠くん、ダメだったかしら」
やってきたのは小鳥遊さん。
しかし眉を下げてそう言われれば、さすがにとやかくは言えないものだ。
自分は5杯目の酒をコップに注いだ。
「お?上司にお酌は?」
「元でしょう」
「にしては敬語だよね?同い年なのに」
挑発的な笑み。
青筋が立つように、苛立ちがふつふつと湧き上がるが、何とかそれを抑えた。
「そんでも実戦経験が豊富なあんたの方が上でしょうよ」
「じゃあお酌」
「死んでもしねーよ?」
自身も同じく笑顔で返す。
ここで怒りを爆発させることは、つまり敗北を意味するのだ。
これで7杯目、と かなり強い酒を注ぐ
「ヤケ酒は痛い目見るよ、惠くん。君の両隣潰れてるけど」
「弱…」
自分がそう呟けば、幼く笑う彼。
普段から貼りついた笑顔をしてる奴だけど、それでもここが心を許せる場所なのだと納得できた。
「……懐かしいね、君とこうしてお酒飲むの」
「そのシリアスオーラやめてください」
「変わんないねぇ。安心するよ。」
「意地でもそのモードですか」
仕方なくコップを傾け、つまみを口に運んだ
それは自分の手製ではなく、新人ちゃんのものだ。
この間、試しにと思い食べてみれば案外食べれたのだ
「ちゃんとした料理も食べれるようになったんだね。…彼女以外の」
「まだ、新人…双葉ちゃんのしか食べれてませんがね」
「案外時期彼女だったりして」
「料理の腕で決めてたまりますか」
フッと、笑ってしまう。
だが、それすらなかったことにするようにコップの甘くて苦い液体を飲み干した。
「「…乾杯」」
ガラスが軽くあたる音がした。
この人の底なしの酒の強さには、勝てそうにない、と。
___柄にもなく昔の全敗記録を思い出していた。
41人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
リナ@オリジナル小説垢(プロフ) - イゼッタさん» コメントありがとうございます!pixiv、やってるんですけど完全に見る専なので…w別垢を作ったらやってみようかなぁと思います!ご提案ありがとうございます! (2018年7月14日 18時) (レス) id: 3385c13a93 (このIDを非表示/違反報告)
イゼッタ(プロフ) - この作品、とても良いのでpixivであげてみては? (2018年7月9日 13時) (レス) id: 1f346eff48 (このIDを非表示/違反報告)
柳(プロフ) - リナ@オリジナル小説垢さん» いえ!こちらこそ受け取って頂けて嬉しいです! 相棒を続ける内に結弦君のSがうつっていったらこんな感じかなぁなんて思いながら描きました(*´∇`*) 作品に貼っていただけるとは……感謝です! それでは(^-^)/ (2018年6月30日 16時) (レス) id: 4785678acf (このIDを非表示/違反報告)
リナ@オリジナル小説垢(プロフ) - 柳さん» わー!本当にありがとうございます!!カッコいい…!そう言っていただけるととても励みになります…!画像、作品内で貼らせていただきますね! (2018年6月30日 11時) (レス) id: 3385c13a93 (このIDを非表示/違反報告)
柳(プロフ) - http://uranai.nosv.org/uploader/common/f/7/b/f7b5dc0fea6a4df1dd9bff02e3179e80.jpg これで見られますかね? 画像が、見られない場合は言って頂けると幸いです。 少しでもリナさんの応援になればと思います。 それではまた、読みに来ますね! (2018年6月29日 11時) (レス) id: 4785678acf (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:リナ@オリジナル小説垢 | 作者ホームページ:http://uranai
作成日時:2018年3月30日 11時