元上司 ページ35
「正染 紅苹果の蜜葉です。こちらは双葉さん。小鳥遊さんに話を通していただけますか」
「かしこまりました。あちらの待合室でお待ちください」
指されたスペースのソファに座る。
ゆづは本当にいつも通りだ。この人高校生か?同い年なのか??
「怪我は」
『あっ、平気。無いよ』
「した方が良かったな」
よく、意味がわからないが。
けど、私に怪我をして欲しかったのはきっと、悪い意味じゃない。
この人は、ゆづはたぶん、悪い人じゃない。
『どうして?』
「……泣くかと思った」
『泣かないよ。だってもう、私はゆづの相棒だもん』
「…………」
ほんの一瞬、彼の瞳が揺らいだ。
「ここにいる限り、死と隣り合わせなんだ。大怪我は日常茶飯事になる」
『慣れておけってこと?』
「出血の多い怪我を急に負ったら体に負担がかかる」
彼は本当に本当に、優しい人なんだろう。
「おや、結弦くんと彼女さんかな」
「冗談でもやめてください」
『あ、えっと…双葉、』
自己紹介と思い、口を開いたところで小鳥遊さんとやらがにこりと笑って口を開いた。
「双葉Aさん 17歳、7月17日に正染の紅苹果に正式加入した方だね。私は警視庁捜査一課理事官の小鳥遊伊月。最近は正染関連管理局の局長も勤めてるから何かあれば話を通して貰えると警察側もすぐに動けるよ」
『よろしくお願いします…?』
正染関連管理局と言ってだろうか。
つまり、警察側でも正染が完全に認められていて、何なら正染専用のお仕事もある…ということ。
「それで、本題はどっちだろう。その可愛らしい女の子のことか、君の右ポケットに入っているメモリのことか」
「両方ですよ。こっちは星野絵空です。厳重管理をお願いします」
『……』
少し、複雑な気分だ。
その厳しい言葉に胸を奥がギュッと潰される。
「協力感謝するよ。メモリも預かっていいんだよね?」
「はい。そちらで確認した後に葉鳥長官に送ってもらえれば」
「了解。あれ、もう帰るの?」
「これ以上アンタに面白可笑しい目で見られるのは勘弁なので」
ゆづは敵を作りやすいんだろうか。
…いや、というよりも……。
他人を認めない、みたいなところがある。
「ああ、バレてたんだ。いやぁ、君が昔の惠くんにそっくりだったから」
『惠くん…?』
「行くぞ」
半強制的に、腕を掴まれ引っ張られる。
そういえば惠さんは元警察だって言ってたけれど…
この人はその上司さんだったりするのかもしれない。
*
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リナ@オリジナル小説垢(プロフ) - イゼッタさん» コメントありがとうございます!pixiv、やってるんですけど完全に見る専なので…w別垢を作ったらやってみようかなぁと思います!ご提案ありがとうございます! (2018年7月14日 18時) (レス) id: 3385c13a93 (このIDを非表示/違反報告)
イゼッタ(プロフ) - この作品、とても良いのでpixivであげてみては? (2018年7月9日 13時) (レス) id: 1f346eff48 (このIDを非表示/違反報告)
柳(プロフ) - リナ@オリジナル小説垢さん» いえ!こちらこそ受け取って頂けて嬉しいです! 相棒を続ける内に結弦君のSがうつっていったらこんな感じかなぁなんて思いながら描きました(*´∇`*) 作品に貼っていただけるとは……感謝です! それでは(^-^)/ (2018年6月30日 16時) (レス) id: 4785678acf (このIDを非表示/違反報告)
リナ@オリジナル小説垢(プロフ) - 柳さん» わー!本当にありがとうございます!!カッコいい…!そう言っていただけるととても励みになります…!画像、作品内で貼らせていただきますね! (2018年6月30日 11時) (レス) id: 3385c13a93 (このIDを非表示/違反報告)
柳(プロフ) - http://uranai.nosv.org/uploader/common/f/7/b/f7b5dc0fea6a4df1dd9bff02e3179e80.jpg これで見られますかね? 画像が、見られない場合は言って頂けると幸いです。 少しでもリナさんの応援になればと思います。 それではまた、読みに来ますね! (2018年6月29日 11時) (レス) id: 4785678acf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:リナ@オリジナル小説垢 | 作者ホームページ:http://uranai
作成日時:2018年3月30日 11時