【文スト】境界の栞 Ⅵ【太宰治】 (ページ8)

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231葉ページ8

「～♪」

『おっす』

「A一人か？てっきりお前自体外に居ると思ったんだがな」

『だって中也相手じゃ社員は危ないしいつ中也の地雷踏み抜くか判んないでしょ？それとも治呼ぶ？』

「それは絶対止めろ。てかその手どういう意味だ！」

私が中也の背に合わせて手を上げ下げすると中也がそう云って睨む。

『それで、用件は？』

「……首領からお宅等に贈呈品(プレゼント)だ」

ピッと私目がけて飛ばされた写真を首を振って避けると、スキマで社長たちのとこに転送した。

「手前は見ねェのか？」

『云わなくても分かるくせにー』

「……なァ、それ俺来る必要性有ったか？」

『無いね。お疲れー』

「てめっ……！」

殴りかかってきそうな勢いの中也に苦笑い。流石に一寸遊び過ぎたかな？

『……ま、森さんの事だしもう一寸付き合っておかないとタイミング合わないよ。でしょう？』

「まァな」

「…答えよ、ポートマフィアの特使。貴兄らの提案は了知した。確かに探偵社が組合の精鋭を挫けば、貴兄らは労せずして敵の力を殺げる。
三社鼎立の現状なれば、あわよくば探偵社と組合の共倒れを狙う策も筋が通る」

「だがお宅等にも損は無い。だろ？」

『あのドSの森さんがそんな生易しいことする訳無いんだなー。探偵社がそんな簡単に釣られる訳ないって解ってるだろうしで、森さんは如何動く心算？』

「首領のやり口を知ってる手前ならもう判ってんだろ？動くまでもねえよ(・・・・・・・・)」

「成る程。……そう云う事か。……やあ素敵帽子君。組合のご機嫌二人組に情報を渡したのは君かい？」

「あ？……そうだが」

『嬉し、そう……んふふっ』

「五月蝿ェ！」

「組合は僕達と同じように罠を疑った筈だ。しかし彼等は食い付いた。あまりに『餌』が魅力的だったからだ。……何で組合を釣った？」

笑みを浮かべるだけの中也に、私は一つ溜息を零した。

『餌ってのはあれでしょう。───遠地に逃げてる、春野さんとナオミちゃん』

「……！！」

「事務員を『餌』にしただと！？」

「直ぐ避難すりゃ間に合う。その上組合はお宅等が動く事を知らねえ。楽勝だ」

「……ッ」

そーっと、そーーーーーっと此処を離脱───

「おっと、お前には居てもらうぞ。足止めも仰せ付かってるからな」

『ほんっっっと森さん趣味悪い！！』

中也を振り切るのは私でも難しい上に結構大きい借りがあると来た。解ってて中也よこしたなあの人……っ！