#9 あの朝 (回想) ページ9
Aの回想
リヴァイ「俺と来るのか、それとも、他の奴と行くのか。…時間がねぇから、はやく選べ」
A「…兵長…?どうして、ここに…。ミカサは…むぐっ」
リヴァイの手が、私の口を塞ぐ。驚いたのと怖いのとで、自分の心臓がバクバク鳴っている音が聞こえる。
リヴァイ「…いいか、口答えは無しだ。時間がねぇから、好きな方を選べ。俺と来るのか、それとも、他の奴と行くのか」
鋭い瞳が、私を貫く。
らしくもなく、ひどく焦った様子で、私の口を覆う手が震えていた。
リヴァイ「…頼む、A。
選んでくれ…。本当に、時間がない」
リヴァイの腕に、私は手を添えた。口元から退けてもらって、まだ震えている人類最強に、私は返事をする。
A「…一緒に、行きます」
一瞬息を詰まらせて、そして、すぐに真顔になって、リヴァイは私の上から退いた。
私の身体を抱き起こして、もう一度、
リヴァイ「…本当に、いいんだな」
そう言った。彼の腰で、立体起動装置が音を立てる。
ーーー訓練の日でもないのに、いったい、どうして。
思ったけれど、口には出せなかった。
リヴァイの瞳が、「聞かないでくれ」と言っているみたいだったからーーー。
急かされて連れ出されて、階段を上る時間も勿体無いからと、起動装置で飛び上がった。
その時はじめてリヴァイの手を握り、リヴァイに抱えられ、手を繋いだまま残りの廊下を走った。
ーーー団長の、部屋の前だった。
重たい扉を開ける前に、リヴァイは突然私に向き合って、抱きしめた。
すまない、と声が聞こえて、思わず顔をあげたらーーー、
タイミングを知っていたかのように唇が降りてきた。
ーーー寄せられた眉根を、よく覚えている。
リヴァイは、苦しそうな顔で私に口づけをして、早急に扉を蹴り開ける。
リヴァイ「…エルヴィン!!!連れてきた、はやく、書類を…!」
エルヴィン「はやかったな、リヴァイ…。A、決断をしてくれてありがとう。心から、礼を言う」
団長の部屋には、人が沢山いた。
私の知らない、偉い身分の人ばかり。
重い机で、リヴァイと書類を書いた。
しくじることもなく。とても、ゆるやかに。
二つ並んだ名前が、まるで『夫婦』みたいだと
他人事(ひとごと)のように思ったのを、覚えている。
書類を持ったリヴァイが出て行って、すぐに戻ってきた。大きな認め印が押された書類には
ーー『下記の者の婚姻関係を認める』ーー
そんな風に、書いてあった。
#10 attention 作者から(この先視点が変わります)→←# 8 中の人、外の人 4
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りりこ(プロフ) - かたちなにさん» はじめまして、コメありがとうです!展開がややこしいお話なので、気に入っていただけてこちらも嬉しいです!糧にして、頑張って続き書きますね〜笑 2幕以降もお楽しみいただければ、幸いです! (2016年10月15日 13時) (レス) id: f30cb6bd23 (このIDを非表示/違反報告)
かたちなに(プロフ) - 見入ってしまった! 話が深くてとても面白い! 興味本位で読み始めたけどワクワクが止まりません笑 とても素晴らしい作品!! (2016年10月15日 8時) (レス) id: 750b6b2d88 (このIDを非表示/違反報告)
りりこ(プロフ) - ハルさん» こちらこそ、混乱させてしまって、ごめんなさいね(泣)精進いたします!応援&コメント、本当にありがとうございました! (2016年3月11日 17時) (レス) id: b097ba1888 (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - そうでしたか!細かな説明ありがとうございます!どちらの作品も楽しく読まさせてもらってます!これからも応援してるので頑張ってください (2016年3月11日 15時) (レス) id: 3eef4ca069 (このIDを非表示/違反報告)
りりこ(プロフ) - ハルさん» というイメージです。ある種の「パラレル展開」という傾向ですね。長々と連投、すみません。あちらの作品は、「甘々展開だけが読みたい!」と思われた時にでも、立ち寄っていただければ、幸いです。コメントありがとうございました! (2016年3月11日 12時) (レス) id: ac8a3e0fe6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りりこ | 作成日時:2015年7月10日 2時