#44 帰還、生還、沈む者 ページ44
(リヴァイ視点)
世話をやいてくれる奴らの中に、Aの姿を探す。
ーーーどうして何処にも、居ねえんだ。
人が多すぎて、ただでさえ見つけにくいっていうのに、あいつは何をしてやがる…？
物資を片付ける新兵を捕まえて、片っ端からA・ビビアントの所在(しょざい)を尋ねるが、どいつも首を横に振るばかりだ。
胸騒ぎが尋常じゃねえ。いったい、どうなっていやがる…。
突然、誰かに腕を掴まれた。
Aかと思ったが、それにしてはあまりに力が強すぎた。
振り返ると、青ざめた女が目に入る。
こいつは確か…ミカサ・アッカーマン…。
エレンの審議の時に、凄い目で俺を睨んでいた女だ。
そんな奴が、俺に、何の用だ…？
リヴァイ「…なんだ、俺は今忙し…」
ミカサ「…いない…」
リヴァイ「あ？」
ミカサ「…Aが、帰ってきていない…！どうして、あなたのところにいた筈なのに…！」
ミカサの震えが、腕から伝わってくる。
事情が、いまいち呑み込めねえ。
リヴァイ「手違いが起きたから、先に帰らせた…！後ろの部隊…右手後方中央寄りの、第十二部隊と一緒のはずだ…！」
ミカサ「…右手後方…中央寄りの第十二部隊は…っ」
リヴァイ「そうだ、何か知っているなら教えろ！あいつは、そこにいる！」
顔面蒼白の、ミカサの言葉を待つ。
ミカサ「…第十二部隊は…、帰還していない…。団長がさっき、走り回っていた…。行方を、知らないかって…」
リヴァイ「！！」
雷に打たれたみたいだった。
指先から、面白いように血の気が引いていく。
最後に目にした、あいつの小さな背中がぼんやりと浮かんだ。
リヴァイ「…っ、クソっ…！」
最悪の事態かもしれねえ…！！
ミカサに踵(きびす)を返して、人を掻き分けながら逆さに走り出す。
壁の出入り口は、半分ほど閉まりかけている。
エルヴィン「…リヴァイ！」
リヴァイ「エルヴィン！まずい、Aはまだ壁外だ！」
エルヴィン「！」
リヴァイ「うしろの第十二部隊と合流させたが、帰還していない…！今から、探しに行く！」
エルヴィン「待て、リヴァイ！無茶をするな！止まれ！」
ーーー止まれるわけねえだろ、馬鹿か。
一番手前にいた馬に、飛び乗った。
閉まりかけの門をくぐって、再び壁外に出る。
装備を完全に解いていなかったことだけが、救いだった。
ーーーどうか、どうか、全員無事でいてくれ…！
フードをかぶりなおし、見当をつけて走り始める。
雨は、まだ降り止まない。
#45 帰還、生還、沈む者 2→←#43 壁外調査準備（午後） 2
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りりこ(プロフ) - かたちなにさん» はじめまして、コメありがとうです！展開がややこしいお話なので、気に入っていただけてこちらも嬉しいです！糧にして、頑張って続き書きますね〜笑 2幕以降もお楽しみいただければ、幸いです！ (2016年10月15日 13時) (
レス) id: f30cb6bd23 (このIDを非表示/違反報告)
かたちなに(プロフ) - 見入ってしまった! 話が深くてとても面白い! 興味本位で読み始めたけどワクワクが止まりません笑 とても素晴らしい作品！！ (2016年10月15日 8時) (レス) id: 750b6b2d88 (このIDを非表示/違反報告)
りりこ(プロフ) - ハルさん» こちらこそ、混乱させてしまって、ごめんなさいね（泣）精進いたします！応援&コメント、本当にありがとうございました！ (2016年3月11日 17時) (レス) id: b097ba1888 (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - そうでしたか！細かな説明ありがとうございます！どちらの作品も楽しく読まさせてもらってます！これからも応援してるので頑張ってください (2016年3月11日 15時) (レス) id: 3eef4ca069 (このIDを非表示/違反報告)
りりこ(プロフ) - ハルさん» というイメージです。ある種の「パラレル展開」という傾向ですね。長々と連投、すみません。あちらの作品は、「甘々展開だけが読みたい！」と思われた時にでも、立ち寄っていただければ、幸いです。コメントありがとうございました！ (2016年3月11日 12時) (レス) id: ac8a3e0fe6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りりこ | 作成日時：2015年7月10日 2時
