【進撃】人類最強に嫁（とつ）いだ私が、毎日振り回されてる件について。第1幕

#30 半年前、某日（ぼうじつ） 4 ページ30

(リヴァイ視点)

ーーーいったいどこで、操作を誤ったのか。

A「…っ、ぎゃああああっ！！」

とんだ悲鳴をあげたAは俺の目の前で、戻りきらなかったアンカーのワイヤーに足を取られた。

リヴァイ「ーーー！！」

近くに縋り付くものがなかったからだろう、Aは重力に抗いきれず、落下していく。

…このまま行けば、宙吊りは確実だ。
死なねえだろうが、まぁ、しばらくトラウマにはなるだろうな。


ーーーチッ。

なんて、世話の焼けるやつ。

道具を一式、準備しておいて良かった。

木の幹を利用して、下向きに、垂直に走る。

途中、パニックのあまりAがぶん投げたのだろう刃とすれ違ったが、気にしなかった。

後ろで部下の悲鳴が聞こえたから、おそらく、奴に突き刺さったんだろうが。

…まぁ、いい。

走って稼いだ分、Aの顔が見えるようになった。
目を剥(む)いて、絶望的な顔をしている。

ーーー馬鹿、このくらいで死なねえよ、お前は。

自分の刃を引き抜いて、Aのワイヤーを叩き切る。

急に加速のついたらしい体に飛びついて抱きとめ、
Aを抱えたまま宙返りをした。


ーーー下が、やわらかな草地で良かった。
膝に来るかと思ったけれど、なにも問題はない。

リヴァイ「…おい」

抱きついて離れないAに呼びかける。

リヴァイ「…いつまでそうしてるつもりだ…」

耳の横でぐずぐず泣かれていては、俺だって居心地が悪い。

顔をあげろ、と囁く。
至近距離で、女と目が合った。

リヴァイ「…A・ビビアントだな？」

A「…はい…」

リヴァイ「…こういう時は、なんて言うんだ？」

A「…？…初めまして…？」

リヴァイ「……。今のは聞かなかったことにしてやる。言い直せ」

A「…？(思案顔)あ！ありがとうございます！…ですか？」

リヴァイ「他に何が思い浮かんだんだ…？まぁ、いい。
A、簡潔に言う。
お前の身柄は、今日から俺が預かることになった。
少しでも自由でいたいなら、せいぜい俺の機嫌を損ねないように努力しろ」

#31 「了解した」→←#29 半年前、某日（ぼうじつ）3

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す