【進撃】人類最強に嫁（とつ）いだ私が、毎日振り回されてる件について。第1幕

#28 半年前、某日（ぼうじつ） 2 ページ28

(リヴァイ視点)
馬を走らせて、森に着いた。

風に乗って、新兵たちの声が聞こえる。

ーーー変わらねぇな、ここは。

苦い思い出が甦って(よみがえって)、
俺は思わず唇を噛む。

ーーー今となっては、もう、随分昔のこと。

エルヴィンの暗殺に気を取られて、俺はいつも、真面目な兵士じゃなかった。

ーーーその結果が、あのザマだ。

ーーー手許(てもと)の大切なものを何もかも失って、俺はまた、ひとりきりに戻ってしまった。

選択することの重さを知ったのは、たしか、あの時が初めてだったーーー。



ーーー「少なくとも三度の奇跡的生還」。

ーーー「エレンと相反する能力」。

ーーー「母親と類似する特徴」。

さっき読まされた報告書の字面が、浮かんでは消える。


ーーーA・ビビアント。
ーーーふざけた奴だ。

ーーー調査兵団なんて所に、身を置いているからこそ分かる。

ーーーそんなに何度も、「奇跡」なんてものは続かねえ。

それはただの「実力」か、そうでないなら、説明できないような「力」の影響、ということになってしまう。

どんなに優秀な兵士でさえ、簡単に命を散らせてしまう世界。

俺はその事実を、嫌という程目にしてきた。

だから、実際見れば分かる。

たかが訓練、されど訓練。

この段階で手間取っている奴は、

実践でも必ず足を引っ張る原因になる。


ーーー立体起動を作動させて、空(くう)に飛び上がった。
木々を縫って進みながら、

ーーーA・ビビアント。
俺がお前の、化けの皮を剥がしてやる…。

苛立ち半分に、俺は思った。

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