【カノ】私ね、カノのこと大嫌い4【カゲプロ】

128.ゆでだこ同士 ページ9

「ふう、いいお湯だったねえ。」

そういって、私の隣に腰を下ろすカノに胸の動機がとまらない。

「ほら、水垂れてるじゃん、ちゃんと拭きなよ。」

といって、自分のタオルで私の頭を拭こうとしたカノの手が首に当たって

わかりやすくびくりと驚いてしまう。

カノはそれに一瞬ひるみ、動作を止めると、私の顔を覗き込んだ。

赤く茹で上がった、たこのようになってるだろう顔が安易に想像できてしまい、

いつもの癖で能力を使ってしまいそうになるが、なんとか堪える。


数秒私の顔を凝視したあと、一人分離れたところに座り、カノは頭をかいた。

「もお、A。緊張しすぎ。僕そんなに手が早いように見える！？」

ふざけたような声色だが、どこか余裕がなさそうな響きが気になってカノの方に目を向けると

真っ赤な顔で、目をそらしていた。

「あれ、能力使ってない…」

思わずそう呟くと

「あたりまえでしょ。Aも使わないんだから。僕だってビビってちゃだめでしょ。」


そういって、恨めしそうだけど、どこか弱々しいカノの目が、すごくすごく愛しくて、

かわいいな、と思った。


「そんなにじろじろみないでってば。」



そういってじとっと睨むカノに、形勢逆転といったように

じりじりと距離を詰めた。

カノはそのままの体制で後ろにずりずりと移動していく。

私も膝で移動して応戦するが、着替えた浴衣が畳とひかかって、体制を崩してしまった。


「っあ、」

思い切り、畳に額でもぶつけると思いきや、着地したのは暖かい、

風呂上がりの香りがする物体で。


私はカノの上にのかっていた。


「わっ、ご、ごめん！」

慌てて体を離す。

カノは、すごく驚いた顔をしていたけど、私が体を離した途端にパッと目をそらした。

「カノ？」

ふざけすぎたかな、と心配になって覗き込むと、真っ赤な耳だけが見えた。

その瞬間、カノは少し乱暴に私の頰をつかんだ。

「ぶっ。」

「A、ほんとに危機感なすぎ。浴衣、ちゃんと直して。」


少し怒ったような声に驚いて、そしてその言葉にも驚いて、自分の格好を見ると

胸元ははだけているし、太ももも露出していて、とてもいただけない格好をしていた。


「っ、あ、」

羞恥で熱くなる体と目頭。ふとカノの手が私の頰から離れると、

カノはやっとこちらに目を向けた。

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