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127.お風呂 ページ8

それから、ご飯も食べずに夕日も眺めて、私とカノは旅館へ向かった。

「わ、あったかあ。」

旅館のロビーに入ると、暖かくて体がじんわりする。

受付へいくと、すぐに部屋に案内してもらえた。


畳が広がっていて、机の上には茶菓子とポットがあった。

窓からは海が一望でき、とても素敵な旅館だった。

「わあ!素敵素敵!」

いろんなところを見て回る私に笑いつつ、カノは荷物を整理していた。

「カノ、ありがとう!」

そういって笑いかけると、嬉しそうに笑って、こちらにスマホを向けた。

「Aの腑抜けた顔、激写」

「あ!」

やったな、と、私もすかさずに撮りかえす。

そんなことをしていると、夕食の時間になり、次々とお料理が運ばれてきた。


「ん〜!お腹いっぱいだね。おいしかったあ。」

テレビを見ながら、ご飯の後のお茶を飲む。

「そうだねえ、あ、でももうすぐ温泉の時間だよ。」

「あ、温泉嬉しい!」

着替えを準備してカノと並んで浴場へ向かう。

しかし、ついた温泉は男湯女湯という仕切りがなかった。

「あれ?」

と、カノの顔を見ると、しまった、というような顔をした。

「ここ、家族で入れる温泉だから、時間によって貸切できるんだよね。」

それはつまり、混浴ということで。

思わぬ事態に頰が赤くなる。

「先にA入ってきなよ。僕、待ってるから!」

そういってカノがいってしまいそうになる。

「あ、カノ!いっしょに、」

と言いかけてやっぱりまた顔が赤くなる。

カノは聞こえたようで、耳が少し赤くなったけど、少し笑って

「僕は全然嬉しいけど、Aは、のぼせちゃいそうだから」

と、私の頭に手を置いて部屋に戻っていった。


ひとりで湯船に浸かりながら、ふうっと息をつく。

いっしょに入ることむかしはあったな、と思って、一人のお風呂が少し寂しかった。


髪の毛を拭きながら、部屋に戻る。

すると、いつのまにか敷いてあった二つ並んだ布団が嫌でも目についた。

「じゃあ僕もいってくるね。」


と、カノがでていく。

布団の端っこの方に座って、今の状況をよく考えたら、意識せずにはいられなくて、熱が冷めない。

そのまま、考え込んでいると、髪の毛を拭きながらカノが戻ってきた。

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yaku - 泣いてしまいましたぁ(泣)お話が素晴らしすぎて…本当に面白くて、素敵な作品でした!完結まで沢山の苦労があったと思いますが、その苦労あってか本当に素晴らしい作品です!完結までお疲れ様でした! (2022年3月25日 0時) (レス) @page14 id: 4fe25e4533 (このIDを非表示/違反報告)
通りすがりの宇宙人(プロフ) - 6年ぶりに開いてみたら、完結していて驚きました。私が小説を創作するきっかけになった作品だったので、とても嬉しい気持ちになりました。この作品を作ってくださってありがとうございます!お疲れ様でした! (2021年9月27日 0時) (レス) id: ca2c0a8931 (このIDを非表示/違反報告)
りこ(ログインできなくなってしまいましたが本人です) - とまとさん» 連載当初からなんて、嬉しすぎます!駆け足になりましたがなんとか、完結されることができたのも、何年も更新停止していても、コメントしてくださる方がいたからです!こちらこそ本当にありがとうございます! (2021年3月14日 21時) (レス) id: d8ea628aa6 (このIDを非表示/違反報告)
とまと(プロフ) - 完結おめでとうございます!連載当初からずっとこの作品を応援しておりました。更新されたときの嬉しさは勿論ありましたが、完結に少し寂しさを感じました。完結させるまで沢山の苦労があったことと思います。本当にお疲れ様です。そしてありがとうございました! (2021年3月14日 7時) (レス) id: ecea65ed61 (このIDを非表示/違反報告)
のんふぇる(プロフ) - 更新待ってました! (2021年3月8日 4時) (レス) id: 993a2e5786 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:りこ | 作成日時:2014年6月22日 19時

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