あんずと隠れファン (2) ページ6
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どうしてここにいるのか、なんて。
全く予想通りすぎる質問だ。そして、同時に1番聞かれたくない質問でもある。
あんずの純粋な質問に、思わず固まってしまうA。しかしそれは、誰もわからないほどの一瞬のことだった。
「あんずちゃんに用があってね。この前話していた件。父が是非、って」
「え、本当ですか!?」
こんな時のために、Aはいつでも何かしらの理由を作っている。
アイドルと出くわしてしまった時の言い訳、教師と出くわしてしまった時の言い訳……あんずと出会ってしまったときの言い訳など。
今回も、“想定内の想定外”が起きてしまっただけ。
Aは、焦らずに言葉を重ねていく。
「それにしても、アイドル科にはお金持ちがたくさんいるんじゃない?うちで良かったの?」
「はい。転校してきたばかりで、友人が少ないので」
Aの神聖化されたイメージに拍車をかけたのは、家がお金持ちという絶対的な事実だ。
家がショッピングモールを経営していることから、あんずはそこでTrickstarのライブを行うことができないか相談していたのだった。
ちなみに2人の関係は友人だが、性格の悪いAがアイドルに近づくために利用しているわけではない。あんずの転校初日に道案内をして、そこから仲良くなっただけである。
「メールでも良いのに、わざわざありがとうございます。今度お礼させてくださいね!」
「いえいえ。お礼なんていいよ」
全く社交辞令を感じさせない、明るい口調。
あんずはそれを本気で捉え、「機会を失わないうちにお礼をしておかないと」なんていう律儀なことを考え始めた。
その場で、考え込むような仕草をするあんず。
(なんか、嫌な雰囲気になってきたな……)
少し離れたところからずっと見ていたユウは、まずいことになりそうな雰囲気を感じ取ると、すぐさま一人でその場を離れた。
もちろん、メールでAにお詫びをしてから。
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とわね(プロフ) - とても惹かれる作品です!更新頑張ってください! (2018年8月18日 16時) (レス) id: 1958dfbf36 (このIDを非表示/違反報告)
リッコ(プロフ) - ラムネを制する者さん» 本当だ……すごい間違いをしてしまいました。ごめんなさい。ご指摘ありがとうございます(^-^) (2018年8月10日 20時) (レス) id: d3767f5969 (このIDを非表示/違反報告)
ラムネを制する者(プロフ) - すごく好みのお話で楽しく読ませてもらっています!吸血鬼が目覚める夜(3)の零さんの台詞の『ならぱ逃げなけれぱよい』なんですが『ならば逃げなければよい』なのでは?間違っていたらすいません! (2018年8月10日 18時) (レス) id: f868d1ea51 (このIDを非表示/違反報告)
リッコ(プロフ) - フラッペさん» お褒めの言葉、ありがとうございます!初作品ですが、“丁寧”を意識してこれからも頑張っていきたいと思います! (2018年8月10日 11時) (レス) id: d3767f5969 (このIDを非表示/違反報告)
フラッペ - こういう細かな文章とても好きです。キャラ一つ一つの感情も伝わってきますし、かく現場も想像できていいですね。おじいちゃんの零先輩も俺の方の零先輩も大好きなので続きが気になります……♪ (2018年8月10日 10時) (レス) id: 0c5a8c4f79 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:リッコ | 作成日時:2018年8月7日 17時