仕事_107 ページ11
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ひのとがAに向かって真っ直ぐ筆架叉を構える。
愛染が苦しそうな声で
愛染「…前…は……こんなの…なかっ…た、のに…」
ひのとが僅かに眉をひそめて愛染に視線を落とす。
ひのと「前…？」
愛「俺、と…蛍丸が、刺された…時は…っ、毒なんて…」
その言葉に、ひのとは音を立てて硬直した。
ひのと「刺された…？なに、言ってんだ…？」
にっかり「忘れたとは、言わせないよ……何振り、犠牲になったか…」
ひのと「犠牲ってなんだよ…どういう意味だ」
ひのとの顔が蒼白になってゆく。
Aがまずいと思った時には、もう遅かった。
愛「意味も、なにも…その筆架叉で…あんたが…あんたが、陸奥守たちを傷つけて…折っただろ…！！」
耳を塞ぎたくなるほどの、
ひのとはこれ以上ないほど目を見開いて愛染を凝視する。
Aが制止の声をあげるが、愛染は止まらなかった。
愛「おかしく…なったあんたが…どっかに、消える前…あんた、俺たちに……たくさん…っ」
まぎれもない、事実だ。
だがそれを当の本人だけが覚えていない。
覚えていないことを、彼らは知らない。
本当はひのとが操られていたのだということを、A以外誰も知らない。
愛「みんな…あんたを、信じていたのに…！」
痛いのと悲しいのとで、愛染の目に涙が浮かんだ。
ひのとは瞠目したまま、その場に立ち尽くしている。
蠱毒に体内を食い荒らされ、遠のく意識を必死に繋ぎ止めているにっかりは、鋭い視線をひのとに向けていた。
Aは息をひそめてひのとを見つめる。
＿＿「マイフレンド。人はね、どこまでも弱くて、些細なことで精神がくずおれるほどの、
同僚に昔言われたことが、ふと脳裏に
ひのと「……だ…」
ポツリと、ひのとが何かを呟く。
それを聞いたAの心臓が不自然に跳ね上がった。
頭の奥で、痛いほどの警鐘が鳴る。
＿＿＿刹那、なにかの
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作者名：葛の葉 | 作成日時：2018年12月16日 16時
