第85話 ページ10
そしてAは狐を宿し、高校生になった。
自分が他人とは違うことは、重々承知していたから、大人しく、『ヒト』のふりをした。
狐面を着けているせいで、目立ちはしたが、大した問題は起きなかった。
無事に1年生をやり通し、2年生になった。
Aは、ここでも『ヒト』のふりをしてやり過ごすつもりだった。
────人間のふりをすんのは楽しいか?
だが、そうはいかなかった。
黒い獣はAの仮面をいとも簡単に見抜き、居場所を与えた。
そして、Aは本性を話した。
だが、黒い獣でも、簡単に受け入れることは出来なかった。
その結果、Aは体を受け渡したのだ。
琥珀の妹に。彼女が名を与えた、妖狐。
ヒスイに。
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『以上で、狐神Aの生い立ちについてを終了いたします』
狐面の少女はそう言うと、ゆっくりと腰を折った。
いつの間にか語り部は消え、代わりのように少女が立っていた。
語り部は、彼女の願望が反映されたものだ。
誰かに、本当のこと、全てを知って欲しいという願い。
それらが、語り部を作り上げた。
だが、その願いが成就された今、語り部は消えた。
高杉晋助は、少しずつ彼女に近寄る。
狐神Aは、静かに唐傘を回す。
高杉の手が、狐面に触れる。
それと同時に、Aは唐傘を閉じた。
そっと、狐面を持ち上げる。
『・・・・ありがとう。晋助』
狐面の下で、Aは、泣いていた。
だが、唇には、柔らかな笑みを浮かべていた。
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haiki - 感動、感動の一言です!失礼ですが、何となく『狐』と言う単語に惹かれてクリックしてみたら、本当にすごかったです!こらからも続けるのだったら、嬉しいのですが・・・これからも、頑張ってください。 (2016年12月29日 23時) (レス) id: 603df3e4f4 (このIDを非表示/違反報告)
柘榴 - めっちゃハマった!感動した! (2016年2月12日 20時) (レス) id: af6dad06a9 (このIDを非表示/違反報告)
ななえ - 感動しました。 (2016年1月13日 21時) (レス) id: 42f6409a50 (このIDを非表示/違反報告)
Head・phone - ハマりに、ハマった。 (2015年10月8日 13時) (レス) id: a1b07e2967 (このIDを非表示/違反報告)
えり(プロフ) - 最高に いい小説でした! 最近 他の小説を読んでも あまり ピンとこない 小説 が 多かったんで この 小説に ハマり ました!
これからも 小説作り 頑張ってください (2015年8月14日 1時) (携帯から) (レス) id: 222eea2be2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:零 x他1人 | 作成日時:2014年4月26日 15時