第81話 高杉side ページ6
狂ったように咲いた桜が見えたのと同時に、スクリーンに映っていた映像がブツリと切れた。
今、俺の前には、狐面を被ったさっき見た少女が立っている。
『・・・・・どうでしたか?狐神Aの子供時代は。
彼女にも、無邪気な頃があったんですよ。意外でしょう?』
狐面の下から、少しこもった声が言う。
それよりも、俺は、聞きたいことがあった。
「お前は一体誰なんだ?Aは何処にいる」
『私はこの物語の語り部ですよ────高杉殿が迷わぬよう導き、語る役。
彼女の物語は複雑ですので、語り部が必要です』
クツクツとのどの奥で笑った後、狐面は白い指を立て、俺の後ろを指さした。
『これにて第一幕・狐神Aが鎮め者となるまでは終了です。
次の物語へお進み下さい。
しかし、今から始める物語は単調でつまらないものですが、いかがなさいますか?
無駄に時間が過ぎますよ』
「どんな話しをするのか教えろ」
『狐神Aの学生時代─────小学生、中学生の時代です。
聞きますか?』
「──────いや…いい。その話は聞いたことがある」
高校に入って初めて会い、Aが普通ではないと感じ取ったときに聞いたことがある。
周りと違うという理由でいじめられ、他人を信用できなくなった。
一度、大きな騒ぎを起こしてしまったこともある、と苦笑しながら語ってくれた。
「・・・・大きな騒ぎって、何だったんだ・・・?」
『あぁ、一度、本気で怒ってしまって、相手の魂を喰らわせてしまったんですよ』
「・・・心でも読めんのか?お前は」
『いいえ?ですが、Aが起こした大騒ぎはそれくらいしかないので。
さて………それでは何を語りましょうか?』
「Aは狐を宿していると言ってたな。
アレは、産まれたときからなのか?それと・・・」
そこで言葉を切り、足早に狐面に近寄り、その面を持ち上げようとした。
だがそこで気がつく。
狐面と肌が癒着していた。
動揺を押し隠し、続ける。
「A、昔は両目とも金色だったんだな」
『ええ。・・・・それでは、あの話しにしましょう』
ぽんっと狐面が両手を叩くと、俺の足下の地面が消えた。
奈落へ落ちるように、俺の体は落ちていく。
『Aの瞳の色の謎。
体に宿った狐。
その二つは繋がっているのです。どうぞ、ご自分の目で見てきて下さい』
最後に聞こえた、物語の内容説明。
静かに溶け消えた。
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haiki - 感動、感動の一言です!失礼ですが、何となく『狐』と言う単語に惹かれてクリックしてみたら、本当にすごかったです!こらからも続けるのだったら、嬉しいのですが・・・これからも、頑張ってください。 (2016年12月29日 23時) (レス) id: 603df3e4f4 (このIDを非表示/違反報告)
柘榴 - めっちゃハマった!感動した! (2016年2月12日 20時) (レス) id: af6dad06a9 (このIDを非表示/違反報告)
ななえ - 感動しました。 (2016年1月13日 21時) (レス) id: 42f6409a50 (このIDを非表示/違反報告)
Head・phone - ハマりに、ハマった。 (2015年10月8日 13時) (レス) id: a1b07e2967 (このIDを非表示/違反報告)
えり(プロフ) - 最高に いい小説でした! 最近 他の小説を読んでも あまり ピンとこない 小説 が 多かったんで この 小説に ハマり ました!
これからも 小説作り 頑張ってください (2015年8月14日 1時) (携帯から) (レス) id: 222eea2be2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:零 x他1人 | 作成日時:2014年4月26日 15時