立花彩の片割れ part3

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彩side

小鈴ちゃんは大粒の涙を流しながら、小鈴ちゃんのお母さんの元に走っていった。



崎｢お母さん！｣



小鈴ちゃんのお母さんは胸の前でバツを作り、言う。



崎母｢私には触れられないよ。小鈴。一応霊だから。｣



小鈴ちゃんは泣き崩れる。



崎｢なんで？なんで？やっと会えたのに…話す事しか出来ないの…？｣



小鈴ちゃんのお母さんは哀しそうに笑った。



崎母｢ごめんね、小鈴。今までよく頑張ったね。｣



私は小鈴ちゃんに歩み寄り、背中を摩った。



崎母｢康太。急に死んでしまってごめんなさい。｣



崎父｢涼音…｣



小鈴ちゃんのお母さんは目を伏せる。



崎母｢ねぇ、研究をやめてよ。｣



崎父｢お前も言うのか…｣



小鈴ちゃんのお父さんは私を睨む。



崎父｢どうせお前が見せた幻覚なんだろう？！お前が話す内容を決めてるんだろう？！｣



小鈴ちゃんのお父さんに胸倉を掴まれる。



崎母｢乱暴はやめて。これは幻覚じゃないわ。

私は霊だけど、これは私の意思で喋っている。


貴方、今まで小鈴にも乱暴してきたでしょう？

ちゃんと謝って。

私の研究に全てを捧げるんじゃなくて、私達の一人娘の小鈴に全てを捧げて。


研究も前やってた内容に戻して。

私はもう、狂ったように研究する貴方を見たくない。｣



小鈴ちゃんのお父さんは、私から手を離し、ヘナヘナと座り込む。



崎父｢でも、俺は、涼音に隣にいて欲しい。
涼音が居なければ…俺は…｣



さっきまで強がっていた小鈴ちゃんのお父さんに力がなくなる。


この人も、ずっと耐えていたんだと思った。


ずっと闇の中をさまよいながら、自分の妻にもう一度会いたいという思いだけでここまで来たんだ。


有り得ない形で会うことが出来て、肩の力が抜けたのだと思う。


先程までの小鈴ちゃんのお父さんと同一人物だと思えないくらい、どこか柔らかい表情になっていた。



崎母｢何言ってるの？小鈴が居るじゃない！


今まで乱暴だった分、小鈴に優しくしてやって。

小鈴の成長を見届けられなくなった私の分まで、小鈴のことを見守っていて。


これは、私からのお願い。｣



小鈴ちゃんのお父さんは笑った。



崎父｢嗚呼、分かったよ。｣



小鈴ちゃんのお母さんも微笑む。



崎母｢何十年か後に、向こうで会いましょう。｣

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