立花彩の片割れ (ページ30)

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美門side

これから塾に戻ったってどうせ遅刻だ。

そう考えた俺は1人で家へ向かった。

そして家に着いて食事などを終え、ベッドに潜り俺が考えていたことは、アーヤのことだった。

別に、アーヤが退団したことについてでは無い。

だってその事は、5週間待てばいい話だから。

俺が考えていたことはアーヤと友達に戻ろうか、ということだった。

若武が糞踏んずけた事件の時、アーヤに、

｢友達に戻りたい｣

と言われた。

いや、そっくりそのままそう言われた訳では無いが、そういうふうにとっても問題無いだろう。

今俺自身も友達に戻りたいと思っている。

だけど今、アーヤはKZを退団しているし、

塾も違うし、

俺は開成に通っているから会う機会がない。

しかもアーヤがKZを退団した今、ほとんど接点がない状態で行ったらおかしい気がする。

しかし、その事で、アーヤをどれだけ待てせて、どのような気持ちにさせていることか。

考えただけで自分が憎くて仕方がない。

俺が、
｢友達に戻りたい｣
と伝えたらアーヤはどんな反応をするだろう。

喜ぶ？

それとも、

なんで今のタイミング？って、嗤う？

いや、アーヤは嗤うことはないと思うけど、そう感じるかもしれない。

それに、電話じゃなくて、直接がいい。

だったら、接点がほぼ皆無の今、どうやって伝えるんだよ。

しばらく自問自答を繰り返し、俺は自分の気持ちに正直になることにした。

アーヤと友達に戻りたい。

明日アーヤが学校に行く前に、アーヤの家の前で待っておこう。

それで出てきた時に捕まえて、話すんだ。

俺は自分の考えに満足し、アラームをいつもより早めに設定して、眠りについた。