〃 ページ26
『待て』
ピタッと髪の毛先が口に触れる直前で止まる。
ダメ元でやってみたが、少し霊圧を発して言うといけるらしい。
「さ、定春?」
困惑した声の娘さん。
その理由は、彼が今まで他人の言うことを聞いていなかった、というのが大きいだろう。
あー、もしかしたらこれ本当にいけるんじゃ...
『お手』
スッと右手を乗っける定春くん。肉球いいなー。私どっちかというと犬より猫派だけど。
『おすわり』
ズシン、と重量を感じさせる音と共に地面に座る定春くん。
とりあえずそこでもう一度待てと言っておく。
『なかなか賢いですね。犬種なんですか?』
「そ、そんな・・・定春が・・・・・・」
ガーンとショックを受けた効果音が聞こえてきそうにふらっと後ろへ下がる娘さん。
あー、やりすぎたかな? けど案外言うこと聞くなぁ、彼。こんな賢い犬滅多にいないと思うけど・・・・・・一体何が原因なんだろうか。
「・・・やっぱり金アルか。流石は透殿!」
ザッと膝をつく。え、なにこれ。
ていうかどんだけ金に正直なのキミ。
「お、オイ・・・定春に留まらず神楽もしつけてんじゃねー・・・天才かぁー・・・・・・」
やはり力なく掠れるような声の坂田さん。意識が戻ったのか。
「やっぱすげーっすよこの人・・・お金なんですかねー・・・・・・僕等には持っていないものを持っていらっしゃる・・・・・・」
続いて助手くん。生きてたのか。
「馬鹿言ってんじゃねーよ・・・・・・所詮は金だろ? 金で何でも買えると思ったら大間違いだぜコノヤロー・・・・・・」
「けど実際猛獣2体をしつけちゃってんじゃないですか・・・・・・定春、この人に引き取ってもらえれば……」
『勘弁してください。流石にこんな大きい犬、ペット可能なマンションでもアパートでも絶対苦情しますよ。それにエサ代半端ないじゃないですか。責任持ってキミたちが飼うべきでしょ、そーしなかったから今そんな状態になったのでは?』
正論・・・と呟く助手くんにぐぅっ・・・と唸る坂田さん。
いい加減認めてやったらどうですか。
「そうアル! こんなにかわいいのに、放っとくなんてできないアル!! 定春、こっち来るアルよ〜!」
・・・・・・そして、なぜか娘さんと定春くんによる追いかけっこが始まった。
復活した坂田さんと助手くんが隣りに座る。
まぁーどっちにしろ認めることになるでしょ。・・・誰かと似て、お人好しだからね。
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
- 全体運: ★★★☆☆
ラッキーカラー
あずきいろ
33人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
クミコさん - 更新待っております (2019年9月27日 7時) (レス) id: ad68fbe9cf (このIDを非表示/違反報告)
蓮佳(プロフ) - 凄く面白いです。リメイクできるまで、待ってます!更新頑張って下さい!応援してます!o(^o^)o (2017年10月8日 16時) (レス) id: d772084aa3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:カトレア | 作成日時:2017年7月16日 17時