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お連れ様ですか、と店員さんに聞かれて
はいそうですと答えた小瀧は
なんの躊躇もなくあたしの隣に座った。
相場重岡の隣じゃないんかそこは。
正面に座られるよりマシやけど、そしたら必然的に
モカちゃんは重岡の隣に行くしかないわけで。
『Aさん何頼んだん?』
メニューをパラパラ捲る小瀧があたしに聞く。
…モカちゃんにもメニューを見せてあげなさい。
「夢原さん、こっちにもメニューあるで笑」
「あ、ありがとう…」
ほらー気が利かんねんから。
重岡にモカちゃん取られるぞ…とか
自分でつっこんでまた胸が痛くなる。
『なぁ、何頼んだんってー』
「当ててみて」
『え!んーそやなぁ…』
頬杖ついて考えてるのが可愛く見えて。
胸の痛さはすぐどこかへ飛んで行った。
「はよせなもう来てまうって」
『待ってや待ってや、えっとな、あ!絶対これ!チョコタ』
「お待たせしました、チョコタルトになります」
店員さん。あと2文字分待ってほしかったよ。
隣でガッツポーズして喜んでる可愛い小瀧が居るのよ。
店員さんがミルクティーと抹茶ラテを置いていった後も
こっちを見てにこにこ笑っている。
正面には太陽のような笑顔を浮かべるやつがいて
隣には優しく甘い笑顔を向けているやつ。
斜めには学年1可愛い子。
…顔面偏差値高すぎる。あたし以外。
『当たったぁ、いぇーい!』
「さすがですねー」
『当てたから1口ちょうだい』
そう言って、ケーキに刺したフォークを
あたしの手ごと掴んでぱくっと自分の口元に運んだ。
『ん!美味い!』
そんな…そんなおめめをキュルキュルにして言われても。
この後どう食えって言うんやおい。
食べかけのケーキに小瀧が口づけたフォーク!
「Aさん、困ってる笑」
「…小瀧くんは楽しそうやね、」
おいこら小瀧ミルクティーまで飲むな!
はよ注文せぇよ!
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作者名:カジャ | 作成日時:2022年9月12日 21時