page55、或る回想 ページ10
Levi side
Aが貴族家だと知った時は驚いた。
初めの一言は
『うわっ汚っ。』
地下街から上がって来た日、そう言って兵舎の男子棟の入り口に立っていた。露骨に嫌な顔をし、開口一番にそれだ。
気品の「き」の字もない奴だと思った。
その時点で貴族家だとは思いもしなかった。行動を共にする時も、そのような素振りは見せなかった。
『私、こう見えても貴族家出身なんだよ?』
入団から3年、突然けろっとした顔で告げられた。『言ってなかったっけ?』と首を傾けるが初耳だった。
「え知らなかったの?大抵は入団直後に、」
『ハンジ、リヴァイはちょっと境遇が違うでしょ。知らなくても不思議はない』
貴族家出身の奴がいるとは聞いていたがAだとは思っていなかった。ハンジには及ばないが仕事をすっとばし部下に叱られることも少なくないこの女が?貴族というのなら仕事をサボるのは分からなくもない。いや、そんな生半可な心なら今ここにはいないだろう。今の立場に就くことも容易ではない。次々と疑問が湧いてきた。
「何故死に急ぐような真似をした?」
疑問の一つが口をついて出た。Aは予想していたとでも言うように含み笑いをして言った。
『退屈だったの。どこもかしこも。新鮮さと…あと開放感を求めた故、かな』
それだけしか言わなかったが、どこかに深い意味を持っているのではないかと感じた。
「いつも思うけどそれどういう意味〜?」
『そのまんまだよ。深く考えないで』
その時上手く理解出来ていなかったことが今になって理解できた。
____もう終わったこと、過ぎたことなのに引きずって。感傷的になって。
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枝豆(プロフ) - いんこぷりんさん» ありがとうございます!楽しく読んでいただけているとは…。とても嬉しいです。これからもこの小説をよろしくお願いします! (2020年6月1日 22時) (レス) id: d4fe53da6f (このIDを非表示/違反報告)
いんこぷりん(プロフ) - いつも楽しく読ませて頂いてます。お受験、枝豆さんにとって素敵な春を迎えられるよう祈ってます!コロナまだまだ怖いですがご自愛ください(^^) (2020年5月29日 1時) (レス) id: a01a78f710 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:枝豆の皮 | 作成日時:2020年5月6日 23時