好物頂上決戦【月島 蛍】

試合開始。 ページ39

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宮城県予選。

仙台市体育館の前に立つバレー部は、インターハイ予選のリベンジに燃えていた。



これは心配いらないな。







「…頼もしいね、仁花ちゃん」

「…ごめん、私、緊張してて…」

「うそん」




仁花ちゃんの顔は真っ青だった。

私はひたすらに大丈夫だよ！と唱えた。






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「あれ、日向は？」

「さっきトイレ行くって言ってたけど」

「…私ちょっと行ってくるね」






みんな試合に向けて各々士気を高めているのに日向がいない。



私は山口くんに声をかけ、トイレに向かって歩いた。









「…え、これどういう状況なの」

「あ！(人1)っ！よよ、よかった俺、」

「…あれ、見たことない子だね。新しく入ったマネージャー？」

「？はい」






トイレに向かうと、日向は色んな人に囲まれていた。


ウシワカに、確か伊達工の青根さんに、






「青葉城西……影山の先輩の及川さんがいるチームですね」

「そうだよ！俺が及川さんだよ〜☆」

「…本当に影山の先輩ですか？」

「どういう意味で言ってるのそれ！本当だってば！」






プンプン！と効果音が出そうなくらいに怒る及川さん。なんかイメージと違う。


隣のツンツン頭の人はひたすらに笑っていた。





ウシワカはそんな茶番に混ざる気はないのか、

誰だろうと受けて立つ、と言葉をのこし去っていった。





青根さんも、日向にペコリと頭を下げてから去っていった。







「日向何したのさアンタ…大丈夫？」

「大丈夫！早く試合したくなった！」

「そっか、」

「チビちゃんとそこのキミ！」






立ち去ろうとした時、及川さんに声をかけられる。

振り向くと、にっこり笑って、








「ちゃんと勝ち上がってきてね。今回も勝つからさ」





そう言って、隣の人と一緒に背を向けて歩いていった。






「…(人1)、俺、やっぱり早く試合したい」

「うん」

「伊達工も、青城も、白鳥沢も。全部倒す！！」








私は興奮気味に話す日向に、大丈夫、勝てる、と思うしかなかった。








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「月島、スポーツグラスかっこいいね」

「さっき日向にも言われたから知ってる」

「お兄さんに貰ったんでしょ。嬉しいんでしょ？」

「うるさい」







ウォームアップの時、

ニヤニヤして言えば、下痢ツボを力強く押された。激痛…！




涙目で睨む私に、

ちゃんと見ときなよ、と言葉をのこして月島はコートに入っていった。




試合が、始まる。

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