部屋に溶ける。 ページ29
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「なあ、これ全部食べてええの…？」
「え、アカンけど。それみんなの分やねんで？」
「いや。全部食べるんや〜〜」
「…あんま食べすぎたら逆に喉渇いて水分失われてまうよ」
はちみつレモン漬け。
みんなの疲労回復に、とレシピを見ながら作ったタッパーは、
治の手の中にしっかりとあった。
「…その、気持ちは嬉しいねんけどな」
「…別にええやん。まさか、ツムとかにもやるつもりなん？」
「せやなぁ。まあアイツも選手やしなぁ」
「…やっぱ嫌や。アイツにやるくらいならこれは俺が食べる」
そんなに美味しかったのかな。
絶対、『お前の作ったもんなんか食えるか』っていうと思ってたのに。
「(なんだろ…認めてもらえた感じ。凄く、嬉しいと思う自分がいる)」
「…何ニヤニヤしとんねん。きしょいわ」
「…いや、なんかレアだなぁ思うて。弱々しい治の姿も、素直な感じも」
「激レアやで。もう絶対見せへんからな」
「じゃあ目にやきつけとくわ」
タッパーを見ればもう残り半分しかなかった。
え、コイツ本当に体調悪い？ってくらい食べる。末恐ろしいから、さっさとタッパーを取り上げた。
「何すんねん…っう、」
「ほらまだ万全じゃないんやろ？もう食べるん終いにして横なって」
「…また、作ってくれるん？」
「…ええよ」
治に布団をかけ、時計を見る。
そろそろ小休憩かな…
するとふいに手首を掴まれて、
ぐい、と治の顔の近くまで引っ張られた。
そして、治の頬と、私の手の甲が触れ合った。
「…お、おさ、」
「…(人1)の手、冷やっこくて気持ちい…」
「アンタが体温高いだけなんやけどな…」
ふ、と小さく笑って、治は反対の手もこちらに伸ばす。
するり。熱を帯びた手が、頬に触れる。
待って。ちょっと待って。
「何して、」
「…分からへんの？」
「いや、あの、えっと…」
「…この前は止めたけど、今日はどうやろな？」
治はニタリと笑って、更に私の手を強く引いた。
あまりの強さに、治に倒れ込む形になってしまう。
…え、なんでこんな力強いの。
そんな思いも虚しく顎を掴まれ、治の指が唇に触れた。
近づく顔。
パチリと目が合う。治の瞳越しに見る自分の姿は、何とも言えぬほど、
「おさ、」
「…もう、黙れや」
なんで。
私の言葉は、届くことなく部屋に溶けていった。
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亀さん - 完結おめでとうございます！治最高…………次回作も読ませていただきます！ (2020年4月2日 10時) (
レス) id: 99a2eebfea (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - やまうみ。さん» コメントありがとうございます！初期からのファン…！嬉しいです、私の作品読んでくださってありがとうございます(^ ^) なるほど…おじいさまの名言、必ずやどこかで使わせていただきます！もう少しで完成するので待っててくださいね〜（＾ν＾） (2020年3月31日 23時) (レス) id: 932e8eeb07 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - しぃらさん» コメントありがとうございます！ドSの治による荒治療はいかかでしたか？(^ ^) それはまずい！もう一度宮治の荒治療を受けることをお勧めします(無限ループ)← 死なないで〜…次回作もぜひ読んでくださいね！ (2020年3月31日 23時) (レス) id: 932e8eeb07 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - ルナ・エイヴェルさん» コメントありがとうございます！過呼吸ぎみですけど大丈夫ですかッ(*_*) 結婚します(真顔)← ぜひぜひひっそりとニヤニヤ、キュンキュンしながら読んでください〜(^^) (2020年3月31日 23時) (レス) id: 932e8eeb07 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - 狐さん» コメントありがとうございます！いえいえ！そう言ってもらえるだけで明日を生きる活力になるので大丈夫です← ぜひぜひ、次回作もよろしくお願いします〜(^^) (2020年3月31日 23時) (レス) id: 932e8eeb07 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はるか
| 作成日時：2020年3月22日 23時
