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『で、できない…』
裁縫が出来るとはいえ、そもそも手先が不器用な私は、チャイムが鳴ってからも美術室でろくろを回し続けていた。
隣で信長も一緒に残ってくれている。
まあ、彼も終わらなかっただけなんだけど。
「和の心を持って、手を取り合う…」
昨日からずっと考えていたらしい信長は、綺麗に形成されて完成間際だった壺を崩してしまった。
信長はきっと、未完の大器。
何も言わずに自分の壺に集中した。
「わぁー！大変ばーい！！！！」
と、大きな足音を立てながら誰かが廊下を走っていった。
今の声は、龍造寺くん？
─龍造寺隆信。
肥前の熊の異名で恐れられ、九州の荒くれ者と言われた武将。
「大変ばい！大変ばーい！！！」
ろくろを止めて、教室後方から廊下を覗き込むと、案の定龍造寺くんが走っていた。
ふとみやちゃんの声が聞こえたような気がして振り向くと、教室前方にみやちゃんがいた。
『みやちゃん？』
「はっ！その、私は、Aちゃんがなかなか戻ってこないので、」
『あはは！ありがとうね』
みやちゃん、信長と一緒に龍造寺くんを追いかけて特進の教室へ戻る。
ん？なんか今秀吉くんが叫んだような。
「どうしたんだ」
「家康が、…新しか旗印ば、立てたて！」
龍造寺くんの言葉に教室内を動揺が走る。
「家康が…」
「相手は！？」
《家康くんが出した旗印はこちらです》
タイミングよく電子黒板に魔村さんが映る。
《誰かを倒す》
「誰かを倒す？」
画面の向こうの徳川くんは、こちらを睨むようにして指差していた。
「誰かって誰だよ」
《それでは旗印戦、開始！》
「ちょ待てよ！」
用事が済むと魔村さんはさっさと消えてしまった。
こんなことって、あるのだろうか。
「早い話が無差別攻撃ってことか…」
「あの野郎」
「考えたな家康」
みんなが今は不在の徳川くんの席を振り返る。
「ということは？」
秀吉くんが黒田くんに解説を求めに行った。
また横取りしたら黒田くん怒るよ？
「誰を狙うか明かさなければ、いつ狙われるかわからない」
「「つまり！」」
「戦に備えにくい！」
ほらぁ。
嫌な顔してるよ。
「まあとにかく、家康を動かしたのは、間違いなく…」
仕切り直した黒田くんの視線を追うように、みんなが今度は信長を見た。
「信長、どうするつもりだ？」
「俺は…天下を獲る」
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美優(プロフ) - Ａ？さん» コメントありがとうございます！前田くんと絡めるように頑張ります！ (2022年8月26日 10時) (
レス) id: c086026ca6 (このIDを非表示/違反報告)
Ａ？ - 凄く面白いです前田との絡みが欲しいです (2022年8月25日 15時) (レス) @page35 id: 463b37ca19 (このIDを非表示/違反報告)
涼杜兄妹(プロフ) - いつも楽しく拝読しております！秀吉ともっと絡ませてほしいです！！！ (2022年8月25日 14時) (レス) @page35 id: a89c13a921 (このIDを非表示/違反報告)
美優(プロフ) - すずさん» ありがとうございます！ (2022年8月23日 19時) (レス) id: c086026ca6 (このIDを非表示/違反報告)
すず(プロフ) - 応援してます!! (2022年8月19日 18時) (レス) @page13 id: c8c40d0f19 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆう | 作成日時：2022年8月10日 0時
