一つの欠伸 ページ33
「おはようございます。」
「おー、はよ。…アドム。遅かったな。早くしないとお嬢様が起きるぞ?」
「……そうですね。急がないと。」
そう言いながらアドムは急いでワゴンに紅茶の缶とティーカップ、フルーツをいつも通り手慣れたように準備していく。
昨夜、確かに寝はしたものの深い眠りにつくことは叶わなかった。そのため、彼は今寝不足な状態である。身体はてきぱきと仕事をこなしているものの頭の中はまだ完全に覚醒し切れてはいないようだ。
「…あの。大丈夫ですか?」
「あぁ、ステラさん。おはようございます。大丈夫ですよ。ちょっと寝不足なだけです。」
心配そうな顔をしたステラがアドムの方に駆け寄ってきた。昨日はそんなに仕事が溜まってたんですか?と聞くステラ。
「えぇ、…まぁ。」
少しだけアドムは答えをはぐらかす。一応、ステラの言うことは正しかった。“溜まっている”というワードだけは…。
「無理しないで下さいね?その…私で良ければ…力になりますよ?」
「ありがとうございます。」
彼はそう言いながら爽やかにニコッと笑った。一方のステラは恥ずかしそうに顔を伏せた。そんな様子を見た他の召使い達は興味津々でよってくる。
「お?おお?なんだ?お前らいい雰囲気だな〜」
「やっ止めて下さい!そんなんじゃないですっ!」
ステラは顔を真っ赤にしながら訂正をする。アドムは呆れたようにため息をつきながら言った。
「くだらないこと言ってないで早く仕事して下さい。」
そう言いながらアドムはワゴンを押してAの部屋へ向かった。時々欠伸がでるのを我慢しながら。今日は早めに休みたい。そう思いながら今日の予定が何だったかを思い出して顔をしかめた。
そうだ…。今日はAお嬢様の服を仕立てに町へ行く日だ…。
アドムはいろんな令嬢に仕えてきたから分かることだが、女の買い物はすぐにすんだ試しがない。今日は丸1日あの我が儘に振り回されることになるのか…。
「……………ねむ…。」
アドムは我慢できず大きな欠伸を一つした。
47人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
もなか@中身はこしあん(プロフ) - 麗華さん» 学校はじまると何かと忙しいですからね(´-ω-`)麗華さんも暇なときでいいので見に来てくださいね~♪ (2015年9月7日 17時) (レス) id: 42910bbd46 (このIDを非表示/違反報告)
麗華 - もなか@中身はこしあんさん» いえいえです(*・ω・*)学校始まっちゃいましたもんね…やだなぁ(笑)第一章完結お疲れ様でした!番外編も第二章も楽しみにしてます♪ (2015年9月5日 23時) (レス) id: 525612bbb2 (このIDを非表示/違反報告)
もなか@中身はこしあん(プロフ) - 麗華さん» ありがとうございますっ!(っ´ω`c)更新ペースはこれから少し落ちると思いますが、よろしくお願いします。まだまだ序の口ですから、第二章ではもっとドロドロにしていきますよ~(`・ω・´) (2015年9月1日 7時) (レス) id: 42910bbd46 (このIDを非表示/違反報告)
麗華 - もなか@中身はこしあんさん» 「私が来てない間にかなりお話が進んでいる(;°Д°)」とビックリしました(笑)折角なので最初から読み返してみました♪途中で感動して泣いちゃいました…これからも更新楽しみにしてます^^波乱の第二章に突入だ!((黙r (2015年8月31日 16時) (レス) id: 525612bbb2 (このIDを非表示/違反報告)
もなか@中身はこしあん(プロフ) - しゅうさん» 素敵だなんてっ…そんなっ…(*゜д゜*)とっっても嬉しいです!!ありがとうございます! (2015年8月13日 2時) (レス) id: 42910bbd46 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:もなか | 作成日時:2015年5月30日 19時