105.本気で落とすと決めた日 ページ18
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「まぁだが目力はもう少し抑えた方が良いか、それを怖がる隊士も多いと聞くからなぁ」
『……う〜ん、怖い、かなぁ……私は力強さを感じて良いと思いますよ』
「……瞳孔が開いているように見えるから、とも言われたが」
だからその気持ちを隠そうと話題を少し変えれば、今度は俺の目をじっと見つめてくる彼女。
Aの方が身長は低いので、自然と俺を見上げる形になる。
そして暫く俺を見つめた後、Aはふわりと笑った。
『まぁ良いじゃないですか、少なくとも私は煉獄さんの目、煉獄さんみたいにいつも爛々と燃える赤色で凄く好きですよ』
多分、この瞬間俺はAが好きだと自覚した。
しかもこの時は色々な感情がドッと俺を押し寄せていた事もあって、俺にしては珍しく一瞬かなり真顔になってしまったと思う。
まぁでも彼女は全く気にしていないのか、それとも俺の感情に気付いていないのか特にいつもと変わらなかったから、そこは少し安心したのだが。
今でも良く思う。
「……君は、本当に人たらしだな」
道理で男女問わず人気がある訳だ。
その時、その人が本当に欲しかった言葉をさも当然のようにかけてくる。
加えて自然な上目遣い、笑顔の愛いさ。
これを当の本人は無自覚でやってくるものだから、恐ろしい。
「今のがもしわざとなら、俺は君に少し説教をしてやらないといけないんだが」
『?……え!ごめんなさいっ、私何か癇に障る事言いました?!あ、というか私に褒められてもって感じですよね……!い、今のは忘れてください!』
「……」
『あ、えっ、と、れ、煉獄さん……?』
駄目だ耐えきれない、思わずふはっ、と笑ってしまった俺に、益々彼女は困惑したのかおろおろと俺の周りをぐるぐる。
そうか、やはり無自覚か。
思わず抱き締めたい衝動に駆られるが、我慢だ、今はまだ。
だけどいつか、近い内にAは必ず手に入れる。
となると先ずは外堀を埋めなければならないが……Aを狙っている他の隊士は問題無い。
錆兎が中々手強そうだがな。
なんだかんだAを妹のように可愛がってはいるし、なんならもう強くない男の元には絶対Aは行かせない!Aの相手はまず俺の許可を取れ!みたいな事をこの前言っていたしな。
でも柱の俺ならばどうにかなるだろう。
そうしてこの日から俺は、Aを本気で狙いに行く事を決めた。
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anna(プロフ) - もうこちらは更新はされないのでしょうか…?お気に入りに登録しておくので、気が向いたらぜひお待ちしてます! (7月14日 13時) (レス) id: dc36689536 (このIDを非表示/違反報告)
ソイク(プロフ) - 続き気になります!無理せず更新頑張ってください!陰ながら応援しています (2021年9月27日 0時) (レス) @page27 id: 145d3835ef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:神崎セルザ@新垢2 | 作成日時:2021年5月23日 18時