【文スト】彼らと私の恋愛観

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―――多分、雪だけじゃ済まない


約束通り、書類を再提出して本部ビルの下で待っていると、帰宅スタイルで現れた彼


そして何故か彼の自宅に連行されて、お手製の粥を食べさせてもらって薬を飲ませてもらって、挙句寝台に寝かされている現状


如何やら私は、熱があったらしい


大変献身的に看病してくれる恋人に感動する暇も無くここに寝かされたのが数分前


訳も分からず目をパチクリさせる私に、「寝ていろ」と云って彼が寝室を出たのが数十秒前



『いやおかしい』


漸く理解に追いついてツッコミを入れたのは静まり返った寝室


嵐のようであり乍、淡々とした彼の恩恵は、確実に今迄に無かった事で


―――如何いう風の吹き回しだろうか…


勿論嬉しいんだけど、戸惑いの方が勝っている


当然寝れる筈もなく、ばさりと布団をめくって、そーっと寝室の扉を開けた

そして抜き足差し足でリビングに近付いて、ソファに座る彼を見つける



「寝れぬのか」


ビクッと、肩が跳ねた


背中を向けた侭云った彼が、こちらに振り返って小さく溜め息を吐いた

そして「座れ」と一度、隣を叩いた



『お、お邪魔します』


おずおずと私が腰掛けたのを確信すると、読みかけの資料に視線を戻した彼


『ご、誤字脱字は直ってますでしょうか…』

「十あったとすれば六は直っている」

『うわあ、微妙だ…』



如何して私ってこんなに仕事出来ないんだろ


一杯彼の役に立ちたいのに、気持ちばかり先走って現実はミスばかり

結果いつも彼を困らせている


彼は、私の大好きな人であり、憧れなのに


ちっとも近付けてる気がしない


「全くだ」

『…へ？』

「書類の出来は微妙、死と隣り合わせの現場に行っても危なっかしい、挙句体調管理も疎か、全く愚者だ」


指折り云われる其れは、どれも反論の余地が無い


こんな女、もう、うんざりだろうか…


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