君との温度差 part3【黄瀬 涼太】

温度差…107 ページ19

「…い、行ったのかな…っ？」




まだまだ乱れている息をなんとか整えて、肩で呼吸をする。


深呼吸を何度かした所で、埃っぽい床にズルズルとへたりこんだ。




「……はぁ…」





目を閉じて、色々な事を考える。





「……黄瀬くん…」





思い浮かべるのは、黄瀬くんのこと。



黄瀬くんは、変わってなかったな。……私とは、違って。



ちょっと自嘲めいて顔を仰ぐ。






……怖かった。





黄瀬くんに会って、話して、心を開いてしまえば、忘れかけていた想いさえも思い出してしまいそうで。






「……黄瀬くん…っ…」






……真っ直ぐな黄瀬くんの瞳が、今は少し苦手だ。





私の心を見透かしているようで。……私の、ホントの想いさえも。




……だめだ。こんなこと、考えちゃ。





私には…私には、征十郎が、いるんだから。





そう考えるだけで、何故か零れそうになる涙。






泣いちゃ駄目だ。





そう思ってるけど、何故か止まりそうになくて。





それは嬉し涙なのか、




悲しさから来る涙なのか、







苦しさからくる涙なのか、






全てからくる涙なのか。






そんなもの分かり用も無かったけど、ただ一つだけ言える事は、私は今、確かに泣いているという事。









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「…………泣かないでよ。鬱陶しい」

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