君との温度差 part3【黄瀬 涼太】

温度差…105 ページ17

そんなものは、向こうが会いにこれば関係はなかった。

気付いてないかもしれない…なんて考えた私を殴ってやりたい。あんだけ目が合ったんだから、そりゃ気づくよね…。




一年生で溢れる廊下。そこを一人で歩いていれば、少し前から、割れんばかりの叫び声が聞こえた。




……嫌な予感がする。




そう思いながらも、なんだろう…？と思った私は、その場で立ち止まった。



その声は段々と近づいてきて。




……嗚呼、やっぱり。




人集りの中心に居たのは…黄瀬くんだった。
「……黄瀬くん…」気づいたときには私はそう呟いていて。



その声が聞こえたのかただ私に気付いただけなのか、





「……Aっち…」





人の声が煩くてその声ははっきりとは聞こえなかったけれど、黄瀬くんは確かにそう言った。


黄瀬くんはやっぱり……私にあの時、気づいてた。




どうしようもなくて、誤魔化しようもなくて私は…




私は、





すかさず後ろに駆け出した。

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