君との温度差 part3【黄瀬 涼太】

温度差…103 赤司side ページ15

「……あっは。あっははははははは!!!
そうよその顔…。おっもしろーい」



その言葉に少なからず顔を歪めた俺が面白かったのか、冴島は大きな笑い声を上げた。





「二年間も側にいて、ホント間抜けな人。
欲しくて欲しくて堪らなかったんでしょ？
でも、いざ手に入っても、本当に欲しい物は手に入らなくて…


心が欲しい、Aの全てが欲しい。……そう切望しても、それは絶対手に入らなくて。」




まるで俺の心を見透かしたような冴島の言葉に、どうしようもない苛立ちを覚える。



それでも冴島は止まらなくて。止めるはずなくて。






「もーそろそろ、"限界"なんじゃないの？」







そう言って満足したのか、笑いこける冴島に、何を言っても仕方が無いと思った俺は、扉に手を掛けた。




「…あーあと一つだけ」




そこで笑いやんだのか、冴島は少し声色を低くした。自信げにその唇を歪ませて笑っているだろう冴島の顔は、容易に想像ができた。

……もう俺が、振り返ることはない。








「貴方はもうすぐ、私のモノになるわ」







楽しげな声のその言葉は、何故かやけに、ズシリと心に重みを掛けた。

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