君との温度差 part3【黄瀬 涼太】

温度差…100 ページ11

固まって何も喋らない私を不審がっている先生達を横目に、私は再び口を開いた。




人間ってのは、追い詰められるとすごい力を発揮できるんだな。

なんて思えるくらい、私はペラペラと喋っていた。





体育館は意外と大きいんだな。さっきのてっぺんハゲ先生は校長先生だったんだな。




……なんて、違うことを考えて気を紛らわせようとするが、そんなの全然効果がなくて。




心は焦燥感でいっぱいで。体は妙に冷静で。




ココロとカラダが全然伴ってくれない。




別に…ただの偶然じゃない。




私にはもう関係ないし、もう、過去のことなのに。





どうしてか。





酷く、胸が痛い。





こんなの嫌だ嫌だ最低最悪だ。会いたくなんてなかった。



……違う。違う、ホントは、





少し嬉しい。……なんて、思った私に、酷く辟易したんだ。




もう……過去だ。忘れたことだ。





って、言い聞かせる。





少し早口で喋り終わり、逃げるように舞台袖に向かった。




背後に、鋭い視線を感じながら。








……私はまた、黄瀬くんから逃げた。

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