君との温度差 part3【黄瀬 涼太】

温度差…91 ページ2

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『うん…。だーいじょうぶだって！浮気なんてしないからっ！』




クスクスと笑って、きっと不機嫌であろう通話ごしの彼の顔を思い浮かべる。


新しい制服に身を包んだ私は、姿見でくるっと体を回転させた。




ゆらゆらと、赤いネクタイが揺れる。




白色のカッターシャツに灰色のスカートとブレザー。胸元で揺れる赤いネクタイがポイントになっていて、とてもかわいい。




……私が今日から通う、海常高校の制服だ。




中学とは違い、スカートも短めの膝上になった。

……それがどうも彼は気に入らないらしい。




"あの日"マネージャーを辞めてから切った髪をいじる。



肩より少し長かった髪はばっさりとしたショートになっている。





『…って、聞いてるのか？……A』

『えっあぁごめんなんだったっけ…？』





どうやら制服に夢中になって話を聞いていなかったみたいだ。





『……実は…Aが通っている高校に…』





なんて、少し言いずらそうに口篭る彼。


ふと時計に目を向ける。





『……って、やばい！』





随分と大声で叫んでしまった。





『いきなり大声だしてどうしたんだ』





通話越しの声が呆れたようになる。





『やばい遅刻する！じゃあ切るね！』

『…っておいA？最後まで話を…』





入学式から遅刻なんて、洒落にならない。なにか言おうとしている彼を遮って、私は通話を終わらせた。








『……じゃあ行ってくるね！






征十郎』

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