【#コンパス】真のあなたと型紙のあなた【逆ハー気味】 (ページ7)

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『ご、ごめん…びっくりさせちゃったかな』

私がそう言いながらゆっくりと男の子の近くへ寄ると、

その男の子は手に持っていた本で素早く顔を隠した。

｢い、いえ！僕の方こそごめんなさい…っ！｣

物凄く気まずそうに謝るものだから、私まで罪悪感が湧いてくる。

"大丈夫だから、謝らないでよ"と元気付けようとしたが間に合わず、

"で、ではっ！失礼しますっ！！"と言いながらくるりと回れ右をして、走り去って行ってしまった。

______はずだった。

ぴょこぴょこと効果音がつきそうなその足取りが突然止まったかと思えば、

男の子はその場で尻もちをついた。

それに気づいた私は急いでその子の傍へと駆け寄る。

『だ、だいじょ_______』

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"大丈夫？"

私のその言葉は、

突然現れた人物によって掻き消された。

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｢に、兄さまっ！！｣

｢ソーンか。

どうした？随分と急いでいたようだが…ｯ！？｣

"兄様"と呼ばれたその人物は、

私を見るなり大きく目を見開く。

その姿はとても美しかった。

『き、きれい…だね』

その人は先程の男の子とは打って変わって

私を見つめたまま目を離す様子が全く無い。

あまりにも見つめられるものだから恥ずかしくなって俯く。

それから暫くの沈黙が続くと、

｢…恐れ難いのですが、お名前をお聞きしても？｣

と、落ち着いた低音が響く。

我に返って顔を上げると、

"ソーン"と呼ばれた男の子と再び目が合うが、

今回は目を逸らすことは無く、照れながらも微笑んでくれた。

『籠女 A、だよ』

私がそう答えれば、

｢アダム＝ユーリエフと申します。以後お見知り置きを。｣

と丁寧に返してくれる。

それに続いて男の子も、

｢ぼ、僕はソーン＝ユーリエフです！以後お見知り置きをっ！｣

と返してくれた。

『うん…！よろしくね！』

少し大袈裟かもしれないが、

この世界に来てから初めて頼れる存在が出来たような気がして嬉しかった。