迷子の迷子の…… ページ45
「あー、もしかして迷い込んじゃったとか?」
しゃがみ込み、女の子の目線まで合わせて問い掛ける。すると女の子は今にも溢れそうな涙を、真っ黒な瞳に浮かべ、コクりと小さく頷いた。
これだけ広い敷地内だ。大人が易々と侵入出来ないだけで、ちょこまかと動く小さな子供が迷い込んでしまう事はあるだろう。
そう思いつつ、私は女の子を安心させる為、彼女の小さな頭を撫でながら―――
「少し待っててくれる? 後で一緒にこの森林から出ようね。」
と言った。
相手はまだ小さな女の子だ。1人でこの真っ暗な森林を歩かせる訳にはいかない。
「お名前はなんて言うの?」
女の子が再びコクりと頷いたのを確認し、名前を問う。
「香苗……」
消え入りそうな声で少女が名前を呟くのを合図に、次のチームの声が聞こえてきた。
「此所で少し待っててね。」
「うん!」
漸く安心したのか、可愛らしい笑顔を見せてくれた香苗ちゃん。そんな彼女の笑顔を目にした後、お馴染みの立ち位置にてスタンバイ。
「あれ、彼処に誰か居ますよ?」
近付いてきた神無月さんの声を耳にし、私はゆっくり振り向いた。
「お兄さん、あーそーぼー。」
メイクで蒼白くなった顔が釈村さんの片手に持たれた懐中電灯に照らされ、地面に私のシルエットが描かれる。
「ヒィッ!」
私に負けないくらい真っ青な顔をして怯えてくれたのは釈村さんだけ。神無月さんは弥生さんと同じく苦笑い、美風先輩、水無月さん、音済さんは顔色1つ変えずに無反応。
駄目だ此のメンバー、最強過ぎる。
私が頭を抱えた時だった。
「柏木、其処の女の子は誰だ?」
音済さんが香苗ちゃんの居る方向を、鋭い目付きで睨み付けた。表情は余り変わらないものの、普段温厚な音済さんが珍しいな。と思いつつ、彼女の事を説明しようとした刹那―――
「え、香苗ちゃん?!」
香苗ちゃんが此方に向かってきて、子供らしからぬ強い力で私の手を引っ張り走り出した。
「Aッ!」
水無月さんの焦り混じりの声が辺りに響き渡った。
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櫻餅(プロフ) - cocolove420さん» コメントありがとうございます。不定期更新ですが、頑張りたいと思います。色んなキャラと絡ませられる様に頑張ります。 (2017年10月27日 15時) (レス) id: 5dfdc31c69 (このIDを非表示/違反報告)
cocolove420(プロフ) - とても面白いとおもいます!これからも更新頑張ってください!ちなみにうたプリは藍、ツキウタは駆、恋、涙、B-PROJECTは竜持、BROTHERS CONFLICTは風斗と弥が好きです!なのでそのキャラをなるべく多く絡ませてほしいな!とおもいます! (2017年10月25日 22時) (レス) id: 66c6f3f00c (このIDを非表示/違反報告)
櫻餅(プロフ) - ひろさん» コメント有り難う御座います!この作品の夢主は自分も気に入っているので、そう言って頂けて大変嬉しいです。恋愛要素はこれから多く書いていく予定ですので、頑張っていきたいと思います。不定期ですが更新も頑張ります。 (2017年10月24日 17時) (レス) id: 5dfdc31c69 (このIDを非表示/違反報告)
ひろ - ぁあああぁ夢主ちゃんが可愛い!!!!!夢主ちゃんがいろんな方々に取り合いされていちゃいちゃしているところが見たいっ← 更新頑張ってください!!!!! (2017年10月23日 17時) (レス) id: 20b3f29abe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:櫻餅 | 作成日時:2017年10月7日 1時