誘惑欲張りJEWELRY『3』

ヒソヒソ話 ページ44

「はー、お化け役楽しいって………ん?」

　金城さん達が去った後の事である。

　何だか周りが一気に騒がしくなった気がした。空耳か幻聴か、私の耳が可笑しくなったのかは分からないが、何だか誰かがヒソヒソと話す声が幾つも聞こえてくるのだ。

　ハッキリと、何を言っているのかは聞き取れないが確かに聞こえる幾人かの人の声。男女関係無く耳に入る色んな人の声が、頭に響く。

「誰か居るの?」

　問い掛けてみるも、返事が無い。それどころか、ヒソヒソと話す声がまた酷くなった。

　辺りを見渡しても誰も居ない。一体全体何なのか、次のチームが来てしまう為、取り敢えず考える事を放棄。

次のチームはカミュ先輩、弥生さん、野目さん、愛島先輩、HE★VENSのミステリアス青年、天草シオンさんらしい。

「恨めしやァ。」

　カミュ先輩と愛島先輩には、貞子風メイクをして日本特有の台詞で脅かしてみた。

「うおッ!」
「にゃあッ!」

　叫んで逃げると言う事は無かったが、跳び跳ねながら驚いてもらえた。残念ながら、天草さんは真顔、野目さんと弥生さんは苦笑い。通り過ぎる時、弥生さんに小さく手を振られた。

　あれ、幽霊役、私だってバレてる?と不安になったが、取り敢えず気にしない。

その後は日向先生の弟で何かと血の気の多いHE★VENS大和さん、来栖先輩、不動さん、文月さん、殿さんのチームに続き、

神宮寺先輩、愛染さん、葉月さん、桐生院さん、北門さんチーム、

皐月さん、卯月さん、英二さん、ナギくん、王茶利さんチーム

隼さん、長月さん、一ノ瀬先輩、風斗くん、増長さんチーム、

是国さん、寿先輩、美風先輩、睦月さん、阿修さんチームがやって来た。

　此処からは真面目にやろうと、幼い少女の幽霊役に集中。良い反応してくれる人が多くて、大いに楽しめた。

最後は水無月さん、神無月さん、音済さん、釈村さん、美風先輩チーム。個性派揃いな上に、水無月さんと音済さん、美風先輩は驚いてくれるだろうかと考えながら、彼等をひたすら待つ。

そろそろ来ても良い頃だなと思っていると、ツンツンッ、誰かが私のワンピースの裾を引っ張った。

「え?」

　木の枝にでも引っ掛かってしまったのだろうと、視線を下に向けると其処には真っ白なワンピースを着た小さな女の子が私を眺めていた。

「え、き、君は?!」

　此処は悪魔でも鈴鹿家の所有地。そう簡単に人が入れない様になっている。だからまさか、こんな小さな女の子が居るだなんて驚いた。

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