睡魔に襲われる ページ44
「で、オメェの相談ってのは?」
「ちょっと、2つの曲を聞いて感想を………侑介くんが思った素直な感想を聞かせてほしいの。」
鞄から何時ものノートパソコンと、先輩達から却下された曲の入ったUSBメモリと今日、プロセラの為に作った曲を入れたUSBメモリを取り出した。
「お、おい俺、専門的な事はわかんねーぜ?」
「あ、その点は気にしなくて大丈夫。第三者、詰まり曲を聞く人達からしてみて、この曲を聞いてどんな風に感じるのか知りたいだけだから。」
まずは失敗作からと、USBを挿し込みカチカチとパソコンにあるカーソルを操作していく。
夜だからと、音量を小さくして曲を流す。
侑介くんは、1フレーズも聞き逃さないようにと真剣な眼差しでパソコンの青白く光る画面を見詰め、耳を澄ませていた。そして曲が始まり数秒後、何と侑介くんは崩れるようにソファの上で眠ってしまった。
夜更かしも平気で出来、遅くまで眠らない事も多い彼が珍しくこんな早く寝てしまうなんて………と最初は驚いたものの、よくよく考えると曲を聞く前までは目が冴えていたうえ、絵麻さんの話を照れ臭そうに、そして楽しそうに話していた。
詰まり、曲を聞いて睡魔に襲われたのか?!
私の作った曲は人を眠くさせるのだろうか?
そんな馬鹿な。それは作曲家として大問題である。
急いでその可能性を消す為、侑介くんを無理矢理起こす。
「起きろ侑介くん!3秒以内に起きなければ、君の友人である佐々倉さんに君の好きな人をバラす‼」
「やめてくれッ!」
彼の耳元で叫ぶと、真っ青な顔をして飛び起きた。
一回起こしても中々起きない侑介くん。彼を1発で起こすには、こう言ったコツが要る。
「はい起きた。じゃあ次ね。」
手際よくUSBを挿し替える。
「オメェは鬼か……………」
「何とでも言いなさい。」
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作者名:櫻餅 | 作成日時:2017年5月29日 10時