誘惑欲張りJEWELRY 『1』 (ページ43)

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ちょっと強引な手口ページ43

「じゃあさ、今日は君の相談に乗った後、私の相談にも乗ってくれる?」

「ああ、いいぜ!」

　威勢の良い返事に、私は「よろしい」と満足げに口角を上げて見せた。

「で、絵麻さんと進展は?」

「それが―――」

　早速、実際に恋人が居たことはあるが、告白されて付き合ってみても中々上手く行かず。

「何か容姿は可愛いけど性格がイメージと違う」と、外見ばかりを見られ性格の変人さでフラれ、「柊木って本当に俺のこと好きなの?」と言われ直ぐに「好きだよ」と返答出来ずフラれての繰り返しではあるが、多種多様な少女漫画達を読破し、数々の恋愛ドラマを観賞しまくり、幾つかの恋愛失敗談を持つAちゃんの特別恋愛講座が開かれ、取り敢えず侑介くんの話しに耳を傾けるも、どれもこれも、彼のヘタレッぷりを主張する様なものばかりで思わず溜め息が漏れてしまった。

「ナンデソンナニヘタレナンデスカ。」

　ヘタレ過ぎて、驚き、片言になってしまったではないか。

「片言やめろ。なんか妙にムカつくぞ?!」

「うるせェやい、ヘタレな貴様が悪いんだろうが。」

「うぐッ、か、返す言葉がねェ。」

　シュンッと力無く頭垂れる彼の髪の毛は、心なしか萎びている気がしてならない。何時もうるさい位元気な侑介くんが、珍しく静かで違和感しかない。

　明日はきっと雨である。

「取り敢えず、ハイスペック過ぎる君のお兄ちゃん達が邪魔だね。」

　今いる兄弟達を、脳内に思い浮かばせていく。

　医者に弁護士、人気声優にカリスマ美容師、バスケ部エース。

肩書きだけでまだまだ高校生でお子ちゃまな侑介くんを圧倒出来てしまう兄に、正統派イケメン完璧王子様にクーデレで然り気無い優しさを持ち、絵麻さんが大好きなゲームを作っている会社に勤めるゲームお兄さん。

スペックやその他に女の子ホイホイ出来る魅力のあるお兄さんに、超売れっ子アイドルと末っ子と言う立場を上手く使う強かな弟くんも居るのだ。

　勉強が苦手で、不良っぽい容姿で周囲から遠巻きにされたり、変な輩に絡まれる事の多い侑介くんでは勝ち目がない。

　義理堅く、不器用だが優しい、侑介くんには侑介くんなりの良いところがあるのだが、それを絵麻さんが分かっていてくれているだろうか。其処は未だに謎である。

　そこで、今の私からは―――

「二人っきりで勉強会でも開いたら?」

「はぁッ?!」

ちょっと強引な手口しか提案できない。