恋愛相談 ページ42
「貴方は一体今何時だと思ってるんですか?!」
夜の21時、物音ひとつしない暗くなった外の静けさとは裏腹に、朝日奈家には大きな雷が鳴った。
「すいませんでしたッ‼」
リビングにて、仁王立ちで御立腹な右京くんの前で見事な土下座を見せる私である。
「幾ら仕事とは言え、遅くなるなら連絡の1つくらいしなさい! 私や他の者が迎えに行きます!」
長い長い右京くんの御説教。心配してくれているのだから、此処は無闇に反抗せず素直に謝っておくのが吉である。
今度からちゃんと連絡しようと肝に命じ、誠心誠意謝る。
只の遠い親戚である私を住まわしてくれているだけでなく、しっかり家族の一員として見てくれている彼等の優しさを易々と無下には出来まい。
「はあ、今夜はこれくらいで勘弁してあげましょう。けど、次は有りませんよ。」
「ハイッ‼」
眼鏡の奥底を光らせる右京くんは、何時見ても恐ろしく、背筋が凍った。
「今日は珍しくオメェが叱られてたのか。」
お休みなさいと告げ、自分の部屋へと戻って行った右京くんと入れ替わりで今度は侑介くんがひょっこりとリビングに顔を覗かせた。
「何時もは侑介くんなのにねー。」
「それを言うなよ……」
嫌味混じり、冗談混じりでニッコリと笑って見せると、ばつが悪そうに眉を潜めた。
「で、私に何か用かな?」
「いや、その、ちょっと相談が。」
私の一言に反応し、顔を自身の髪色同様、ほんのり赤く染め、照れ臭そうに頬をぽりぽりと人差し指でかいてみせる彼は恋する思春期男子である。
青春真っ盛りの高校生男子とは正しく彼の事だ。
「絵麻さんと何かあった?」
私と彼は年が近いせいか、小さい頃から喧嘩しつつも此処の兄妹の中では一番仲が良い。そのせいか、侑介くんは何かある度に私に相談してくる。逆もまたしかり。
「うぐっ」
あからさまな反応である。年上ながら、なんて初々しい人なんだろうか。
「私に相談するのは良いけどさ、私恋愛云々に関しては詳しくないし、絵麻さんとは学校違うんだよ?私の意見、宛にしない方が良いんじゃないの?」
「いや、オメェの意見が一番的確ッつーか、的を得てる感じがして。後、一番相談しやすいんだよ。」
ぶっきらぼうに呟く彼。そう言われて悪い気はしなかった。だがしかし、恋の相談ならば、経験豊富な要くんの方が適任なのではないだろうかと思ってしまう今日この頃………
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作者名:櫻餅 | 作成日時:2017年5月29日 10時