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スライディングセーフ ページ20

「ちょっと待てやぁぁあっ!」

 辺りによく通る怒鳴り声を発し、閉まる寸前の校門にスライディング。

 バタンッ

 重々しい門が閉まる。

「相変わらず騒がしいな、お前。
 柊木 A、ギリギリセーフっと。」

 帳簿に何やらどす黒い笑みを浮かべながら、書き込んでいく可愛らしい顔をした美少年、1年2組の南雲 薫君、風紀委員だ。

「ハハハッ、おはよう、南雲君。」

「おはよう、ところで鼻血出てるぞ。」

 顔から突っ込んだせいか、鼻を強打。

 通りでさっきから、鼻孔から錆びた鉄にも似た匂いがするなと思った。

 南雲君に「一応女なんだから、顔は大切にしろよ。」と注意され、ティッシュを貰って保健室へと走る。

 同じクラスの南雲君は、毒舌で基本誰に対してもつっけんどんで、冷たいが優しい1面もある。要するにツンデレ。

「おはようございます、山南先生。」

 保健室の扉をガラガラっと開け、中に居る筈の保険医の先生、山南敬助先生に声を掛ける。

「ん? 柊木じゃないか。」

しかし、其処に居たのは2年生の先輩で保健委員の山崎丞先輩であった。

「あれ、山南先生は……」

「山南先生は出張に行っていらっしゃる。ところで、此処に来た理由はもしかしなくとも、その鼻血か?」

「御名答です。」

 山崎先輩は面倒見が良く、ちょくちょく怪我をする私もよくお世話になっている。

「上は向くな、口に入るから。それと暫く此処で鼻血が止まるのを待つか、ティッシュを鼻に突っ込んで授業を受ける、どっちが良い?」

「止まるまで待ちます。」

 面倒見は良いが、たまに意地悪な所がある。

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作者名:櫻餅 | 作成日時:2017年5月29日 10時

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