月恋 第4話 「方向音痴」 ページ5
「えぇっと、確か此処等へんのはず………」
スマホで検索した地図と睨めっこをしながら、さっき出会った兎さん達の家を探す。
黒い大きな兎は私のスポーツバックの中、白い小さな兎は私の腕の中にすっぽりと大人しく収まっている。
2匹共、大人しくて助かった。白兎の方なら兎も角、黒兎の方に暴れられては一溜まりもないからだ。
「あの、すみません!」
それにしても、地図を見ても彼等の家が分からない。困ったものだと首を傾げていた所に、丁度通り掛かった眼鏡にスーツの優しそうな格好良い男の人を掴まえて聞いてみることにした。
「はい、何でしょうってあれ、白田さんじゃないですか。それに黒田くんも」
「えッ?」
眼鏡の男性は私否、私の腕の中でスヨスヨと心地良さそうに眠ってしまった白兎と、未だに鞄の中に入り首だけ出して大人しくしてくれている黒兎を見て目を見開いた。
「あの、この子達の飼い主さんですか?」
「嗚呼、はい。その様なものです」
ハッキリしない返事に違和感を覚えたものの、飼い主が見つかって良かったとホッと息をつく。
「えっと、東京駅辺りで此の黒兎さんに背後からタックルされた縁で、この子達を送り届けさせて頂きました」
黒兎に東京駅付近でタックルかまされる等と言う経験は中々聞いたことがない。寧ろ、私が初めて何じゃないかと思う。
「本当ですか?!それは大変ご迷惑をお掛けしました。黒田くん駄目じゃないか」
白兎の白田さんを渡してから、黒田くんと言うらしい黒兎さんをスポーツバックから出し、男性に渡そうとするも私が着ているセーラー服のリボンを噛んで、中々離れてくれない。
「黒田さんだっけ、やめて、リボンに穴が空くから!あっ、白田さんは靴下噛まないでくれませんかね?!」
「ええッ?!」
黒田さんにリボンを噛まれている事に集中し、白田さんに靴下を噛まれている事に気が付かなかった。
飼い主さんの方も私に謝りながら、黒田さんを引き剥がすのに必死で白田さんの方には全く意識が行っていなかった様だ。私の足元で、ガッシリ靴下を噛んで離さない白田さんを見て相当驚いている。
「どうかしたんですか、月城さん?」
誰か助けてくれ、心の中で叫んだ時、月城さんと呼ばれた飼い主さんの背後から、王子様の様に格好良くキラキラオーラを纏う、何処かで見覚えのある青年がひょっこり顔を出した。
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櫻餅(プロフ) - snowさん» コメント有り難う御座います。少しでも共感して頂けて、大変嬉しく思います。これからツキウタ。メンバーと関わり、夢主がどんどん成長出来るお話にしていきたいと思っておりますので最後までこのお話にお付き合い願えたら嬉しいです。応援有り難う御座います! (2017年12月21日 19時) (レス) id: 5dfdc31c69 (このIDを非表示/違反報告)
snow(プロフ) - こんにちわ♪最新話読みました。ちょっと、自分のことみたいにホロリとしました。ヒロインちゃんが無事に乗り越えてくれると信じてます。目標が早く見つかること、祈ってます。頑張って下さい! (2017年12月20日 14時) (携帯から) (レス) id: bc61ae6263 (このIDを非表示/違反報告)
snow(プロフ) - 櫻餅さん» 待ってます。急激に寒くなりましたので、風邪など引かないように気を付けてください。 (2017年10月7日 1時) (携帯から) (レス) id: bc61ae6263 (このIDを非表示/違反報告)
櫻餅(プロフ) - snowさん» ありがとうございます!そう言って頂けて嬉しいです!不定期更新ですが、頑張ります。 (2017年10月7日 0時) (レス) id: aab212b765 (このIDを非表示/違反報告)
snow(プロフ) - 初めまして♪楽しく拝見させて頂きました。愛ちゃんへの愛が溢れていて、素敵でした。更新、楽しみにしてます。これからも頑張って下さい!! (2017年10月6日 9時) (携帯から) (レス) id: bc61ae6263 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:櫻餅 | 作成日時:2017年9月19日 0時