月恋 第24話 「毒林檎と白雪」 ページ25
「あ、涙とAちゃん、プロセラの共有ルームに居たんだ」
学校から帰ると、涙とAちゃんがプロセラの共有ルームでツキノ寮のアニマル達に囲まれて眠っていた。
涙はAちゃんを後ろから抱き締めながら、ソファにもたれ掛かっているだけで起きていたけれど、Aちゃんの方は涙に身を預け、マゼランをだき抱えながらぐっすり眠りにつき、起きる気配がしない。
「葵、おかえり」
「ただいま、涙」
「新とは一緒じゃないんだね」
「新なら、寮まで一緒に帰ってきたからグラビの共有ルームに居る筈だよ。疲れたーッて、ソファに寝っ転がってたから」
帰ってくるや否や、グデッとソファに寝転び「あー、何時もの抱き枕が居ない」と嘆く新の姿を思い出し、クスリと笑う。
「それにしても、何で涙はAちゃんをだき抱えてるの?」
それに、涙が何故か彼女の細く白い左手首を優しく掴んでいるのも気になって仕方がない。
「これはAの生存確認」
「え?」
質問に対して意外な答えが返ってくる。一体全体、どういう事なんだろうかと首を傾げていると―――
「Aの手、触ってみて」
涙にそう言われて更に戸惑いを隠せなかった。
突然、どうしたんだろうかと言う疑問を抱え、幾ら年下でも女の子の手を気安く、しかも眠っている時に触るのは如何なものかと困惑する。
「Aの体、凄く冷たい。昨日、全然動かないし、息をしているか分からないくらい静かに眠っていたから、死んでるのかと思って焦った」
涙に遠慮がちに手を引っ張られ、彼女の手に触れる。すると、涙の言う通り彼女の手は氷の様に冷たくてひんやりとしていた。まるで死人の手。
「嗚呼、だからこうしてだき抱えて生存確認って訳だね」
未だに眠り続ける彼女を眺めるも、確かに死んだ様にピクリとも動かない。まるで毒林檎を囓ってしまった白雪姫の様な危うさを感じ、これは涙が生存確認したくなる理由も理解できてしまった。
「おやすみ、Aちゃん。あんまり眠ってると、皆心配しちゃうし夜眠れなくなるといけないから、なるべく早く起きてね」
寝ている彼女を起こしてしまわない様、小さな声でそう伝え、グラビの共有ルームへと戻った。
月恋 第25話 「抱き枕」→←月恋 第23話 「素晴らしき」
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櫻餅(プロフ) - snowさん» コメント有り難う御座います。少しでも共感して頂けて、大変嬉しく思います。これからツキウタ。メンバーと関わり、夢主がどんどん成長出来るお話にしていきたいと思っておりますので最後までこのお話にお付き合い願えたら嬉しいです。応援有り難う御座います！ (2017年12月21日 19時) (
レス) id: 5dfdc31c69 (このIDを非表示/違反報告)
snow(プロフ) - こんにちわ♪最新話読みました。ちょっと、自分のことみたいにホロリとしました。ヒロインちゃんが無事に乗り越えてくれると信じてます。目標が早く見つかること、祈ってます。頑張って下さい！ (2017年12月20日 14時) (携帯から) (レス) id: bc61ae6263 (このIDを非表示/違反報告)
snow(プロフ) - 櫻餅さん» 待ってます。急激に寒くなりましたので、風邪など引かないように気を付けてください。 (2017年10月7日 1時) (携帯から) (レス) id: bc61ae6263 (このIDを非表示/違反報告)
櫻餅(プロフ) - snowさん» ありがとうございます！そう言って頂けて嬉しいです！不定期更新ですが、頑張ります。 (2017年10月7日 0時) (レス) id: aab212b765 (このIDを非表示/違反報告)
snow(プロフ) - 初めまして♪楽しく拝見させて頂きました。愛ちゃんへの愛が溢れていて、素敵でした。更新、楽しみにしてます。これからも頑張って下さい!! (2017年10月6日 9時) (携帯から) (レス) id: bc61ae6263 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：櫻餅 | 作成日時：2017年9月19日 0時
