月恋 第14話 「女子力」 ページ15
「そういえば、もうすぐ夕飯だけど何食べたい?」
丁度白田さんを霜月さんの元へ届けに来たら、自室からプロセラはルームにやって来た長月さんに夕飯のリクエストを聞かれた。
キッチンの前に立つ長月さんは、淡い黄色のエプロンが妙に似合っていて様になる。
「え、えっと………」
「折角だし、Aちゃんの好きな物を作るよ。好きな食べ物を教えて欲しいな」
優しい笑顔を浮かべる長月さんにそう言われ、答えに少しだけ困って考え込む。
私の好きな物、それは蕎麦にさばの味噌煮、そして鶏のから揚げと言った様に、女の子らしさの欠片も無いものばかり。
それを、目の前に居る女子力カンストしてそうな今話題の男性アイドルに言っても良いのだろうか迷ってしまう。だが、折角私の好きな物を作ってくれると言うのだ、嘘をついて誤魔化してしまっては勿体ない限りである。
「さ、さばの味噌煮と蕎麦、後、鶏のから揚げが好きです。そして今は鶏のから揚げが食べたい……です」
ちょっと遠慮がちに伝えると、長月さんは「分かった!」とまたもや優しい笑顔を浮かべ、調理に取り掛かった。
「ふむ、中々渋い舌をお持ちで」
ずっしり、突然頭の上が重くなったと思ったら、何時の間にかプロセラの共有ルームに来ていた卯月さんが私の頭上に左腕を置き、呑気にイチゴ牛乳を飲んでいた。
「あの、卯月さん重いです」
「因みに俺はイチゴ牛乳が好き」
「聞いてください卯月さん、重いです。そして誰もそんな事聞いてませんよ」
私の言葉を華麗にスルーし、チューッとイチゴ牛乳を飲んでいく。
その前に腕を退けて欲しい。このまま私の身長が止まってしまっては困るからである。そして重い。
「和食派な俺とは気が合いそうだな、A」
「そうですねッて、それより腕を退けてもらえませんかね?!」
「Aが俺の事を下の名前で呼んでくれたら退いてやらなくもない」
「ウデヲドケテクダサイアラタサン」
「片言過ぎて何を言っているのやら」
しれっと腕を退かそうとしない卯月さんに、少し涙が出そうであった。
嗚呼、成長止まったらどうしよう。
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櫻餅(プロフ) - snowさん» コメント有り難う御座います。少しでも共感して頂けて、大変嬉しく思います。これからツキウタ。メンバーと関わり、夢主がどんどん成長出来るお話にしていきたいと思っておりますので最後までこのお話にお付き合い願えたら嬉しいです。応援有り難う御座います! (2017年12月21日 19時) (レス) id: 5dfdc31c69 (このIDを非表示/違反報告)
snow(プロフ) - こんにちわ♪最新話読みました。ちょっと、自分のことみたいにホロリとしました。ヒロインちゃんが無事に乗り越えてくれると信じてます。目標が早く見つかること、祈ってます。頑張って下さい! (2017年12月20日 14時) (携帯から) (レス) id: bc61ae6263 (このIDを非表示/違反報告)
snow(プロフ) - 櫻餅さん» 待ってます。急激に寒くなりましたので、風邪など引かないように気を付けてください。 (2017年10月7日 1時) (携帯から) (レス) id: bc61ae6263 (このIDを非表示/違反報告)
櫻餅(プロフ) - snowさん» ありがとうございます!そう言って頂けて嬉しいです!不定期更新ですが、頑張ります。 (2017年10月7日 0時) (レス) id: aab212b765 (このIDを非表示/違反報告)
snow(プロフ) - 初めまして♪楽しく拝見させて頂きました。愛ちゃんへの愛が溢れていて、素敵でした。更新、楽しみにしてます。これからも頑張って下さい!! (2017年10月6日 9時) (携帯から) (レス) id: bc61ae6263 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:櫻餅 | 作成日時:2017年9月19日 0時