ウラオモテカノジョ～あざとい女の子はきらいですか？～【1】 (ページ23)

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寝言は寝てから言ってくださいページ23

人が滅多にやって来ない自動販売機の影に隠れて、一人でなぜか座り込んでいた年下の先輩を見つけてしまったときの俺の心境を述べよ。

正解は……

「びっっっくりしたぁ！！！」

でした。

普段は礼儀正しくて、明るい笑顔が似合う可愛い女の子の三ヶ井 Aちゃん。

優しくて気配り上手なうえに、礼儀正しくて明るい性格であるため周りの人間から妹、または本当の娘のように好かれて可愛がられている。

彼女が幼い頃から共演することも多く、その人柄は俺もよく理解しているつもりであった。だがしかし、いつもなら彼女と仲の良い久野ちゃんを交えて色んな人達とお喋りしている筈なのだが、今日は珍しく休憩に入ってからふらりと姿を消してしまったため、みんな不思議に思ってはいたのだ。それがまさか、こんな人気のない薄暗い場所でひとり、ひっそりと息を潜めて休憩しているだなんて思っても見なかった。

膝を折り曲げて、彼女と目線を合わせてから、何をやっているのかと問い掛ければ、気まずそうな表情を浮かべながら、休憩です、と答えてくれた。

「なんで、こんなところにいんの？」
「……」

どうやら、あまり言いたくない様で。その質問には答えてはくれなかった。

「久野ちゃんも梶さんも、Aちゃんのこと探してたけど」

そうやって、二人の名前を出したときである。

Aちゃんの表情が歪み、一気に力を入れたのか両手で持っていたミルクティーの缶がベコッと音を立てて凹んだ。

その様子を見て、俺はなんとなく察してしまった。

どうやら、Aちゃんがこんな薄暗い場所に居るのはたった今、名前を出したこの二人のどちらかが理由らしいということを。

だがしかし、今日もいつも通り久野ちゃんとAちゃんは一緒に仕事場まで来ているから喧嘩という線はあり得ない。

梶さんとも先程まで、普通に喋っていたから彼が原因とは考えにくい。

では、一体なぜこんなところに隠れるようにしているのだろうか？

久野ちゃんと梶さんも、休憩に入ってからずっと仲良く喋ってるし、どこに原因が……ん？仲良く二人でお喋り？

ま、まさか……！

「Aちゃん、もしかして梶さんのことが……！」
「寝言は寝てから言えや」

ひとつの答えにたどり着き、それをそのまま口にしたところ、普段の彼女からは想像できないくらいのガチトーンで怒られてしまった。

てか、その蔑んだ目をやめて！傷つくから！！！