仮面夫婦 (ページ4) - 小説/夢小説

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仮面２ページ4

中原中也、横浜の闇を取り仕切るポートマフィア幹部の一人であり、重力を操る異能力者であり、私の夫。

常に黒いお洒落な帽子を被って、その低い身長を誤魔化している。性格は好戦的。

小柄だがマフィアきっての体術使いで、彼の異能も相俟って高い戦闘力を持つ。

　明るい髪色に整った顔、要するに美形。そして目上の人への気遣いや、部下への配慮も怠らない常識人。

マフィアの人間にしては優しい一面を持っている。

　此れが１ヶ月、中原さんと生活していて判った事である。まあ、会話もないし、一緒に生活していると云うだけで特に関わりが無かったため、彼の事を監察して纏めただけであるが――

マフィアだけれど、そんなに悪い人ではないかもしれない、と云う事だけは理解できた。

ただ、どうしても夫婦になった実感も、彼に対する愛情も芽生えない為、心の中では中原さんと呼んでいる。勿論、結婚して籍を入れた私も中原なのだが、どうしても苗字が変わった気がしない。慣れないのである。

「お帰りなさいませ、中也さん。」

　ガチャリと高級マンションの扉が開く音ともに、中原さんが帰ってきた。

　私は直ぐ様中原さんの元へ急ぎ、にこやかに、愛想笑いに近い否、殆ど作ったような笑みを浮かべ、彼を出迎えた。

「嗚呼、ただいま。」

　中原さんは此方に目も向けず、玄関を上がり自室に入った。

　今は早朝4時、中原さんが朝帰り等よくあることだ。

　何せ、ポートマフィアの仕事は夜が多い。だから、彼は夜に家を出て、朝に帰り、昼は殆んど眠っている。私はと云うと、朝に起きて中原さんの帰りを待ち、昼に家事を済ませ、中原さんが夜に出てくと同時に眠りにつく。

そんな昼夜逆転の生活を送る中原さんと、普通に朝昼夜を過ごす私は相容れない。

関わる時間など、全く以て無い。此れが夫婦仲がちっとも深まらない、原因の１つかもしれないと私は考えている。