さんじゅうさん。 ページ35
楽しそうに笑い、競いあう真緒くん達を見ながら私は凛月君に話しかける。
「ねぇ、凛月君。…私ね、こんな風に笑って夜を過ごせる日がくるなんて思ってなかったの」
それに対し、返ってきた言葉は、
「分かるよ、その気持ち。Aやま〜くんがいない夜は、俺もそうだったから。寂しくてしょうがなかったんだ」
日中を苦手としている、凛月君の本音だった。私とは違い、怯えることはなくても、寂しいというのは自分のことのように分かる。
ひとりぼっちの夜は、寂しい。
私は何をいうでもなく、ただただうなずいた。
「だからさ、すごく嬉しかったんだ。…覚えてないかもしれないけど、前に一度だけ、夜一緒にいてくれたでしょ?それだけって思っているかもしれない。でも俺にはそれが何よりも嬉しかったんだ」
にこり、凛月君は笑った。
「幸せだなって。からっぽだった俺を満たしてくれた。そんなAにはずっと一緒にいてほしい。笑っていてほしいの」
照れくさそうに少し顔を赤らめた凛月君。
「プロポーズみたいだね」
私がそう言えば、
「そうなのかもね」
とても小さな声で凛月君は返してきた。
ああ、本当にそうなる『未来』が、そんな『未来』があったなら。
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マヒル - とても感動しました。これからも頑張って下さい。 (2018年8月19日 19時) (レス) id: b3f1e97e99 (このIDを非表示/違反報告)
脳内パラレルワールド(プロフ) - 過去なのか、続きなのか、気になるとこできれてて、続きが気になる! (2018年1月20日 1時) (レス) id: 51b674cbb9 (このIDを非表示/違反報告)
藍刻 零紗(プロフ) - オスカーさん» ありがとうございます!そう思っていただけるなんて、すごく嬉しいです(*´∀`)やたらと掛け持ちしているせいで更新がかなり遅くなっていて申し訳ないです。改めて決意しました。更新頑張ります! (2017年11月11日 17時) (レス) id: caba9fa115 (このIDを非表示/違反報告)
オスカー - 悲しいですが、読んでいて時間が忘れるくらい素晴らしい作品だと思いました!私も、夢主ちゃんが来世で皆とまた会うような話みたいです!更新頑張ってください!応援しています(*- -)(*_ _)ペコリ (2017年11月11日 17時) (レス) id: 662403215f (このIDを非表示/違反報告)
藍刻 零紗(プロフ) - あーりすさん» ありがとうございます!そう言ってもらえるの、とても嬉しいです(*´∀`)番外編、いいかもしれませんね…。作るかも分からないですし、作っても望む話に出来るかはわかりませんが掛け持ちしてる作品とかが落ち着いたら少し考えてみます。本当にありがとうございます! (2017年10月4日 19時) (レス) id: caba9fa115 (このIDを非表示/違反報告)
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