33話 ページ33
「さぁっ！
出来たわよ！遠慮せずにいっぱい食べてね！」
『わぁあ！美味しそう！』
「秋ネェのご飯、すっごく美味しいんですよ！」
「「『いっただきまーす！』」」
私達は美味しく秋さんの手料理を
美味しく頂きました。
＿＿＿＿＿＿＿＿
「ふぅ〜美味しかった〜！」
お腹をポンッと叩きながら歩く天馬を見て、
ふふっと笑いがこぼれてしまった。
『なんか、天馬…おじさんみたい』
「えぇーー！？ホントですか！？
き、気をつけます…っ」
肩を並べながら部屋へ向かおうとしている私達。
なんか新鮮な気持ち…。
今までこんな事なかったのに。
嬉しくて楽しくてずっとここに居たくなる。
温かくて優しくて…
そんな家って凄く良いよね。
そう心の中で呟いていると、
腕をグイッと引かれた事に気づいた。
「ちょ！先輩っ！行き過ぎです！
俺の部屋ここです！」
どうやら呟いている間に
天馬の部屋を通り過ぎようとしていたようだ。
『あ、ごめん…天馬』
「大丈夫ですよ！
さっ、入ってください！」
天馬の部屋に入ると、
天馬の匂いがした。
あ、変態な発言をしてしまった。
改めて部屋を見渡すと、
綺麗に整理整頓されており
天馬の部屋だなぁと実感する。
『天馬って感じの部屋だね…』
「そうですかね？
普通だと思いますよ…！あまりないですし」
苦笑いをしながら
ベッドの上に座り込む天馬。
ゆっくりと部屋を見ながら歩いていると、
ふと目に入ったものがあった。
棚の上に稲妻マークが描いてあるサッカーボールに目が止まった。
じっとそのボールを見ていると、
いつの間にか私の横に立っていた天馬に驚いた。
『わぁ!?びっくりした！！』
「それは…俺の大切なものです…」
立っている天馬を下から見上げると
とても優しい表情しながらボールを見つめていた。
そっとボールを両手で持ち、
そのボールを自分の胸に押し当てた。
「このボールで俺、助けられたんです」
『え…？』
「俺、最初は沖縄に住んでいて…
母さんと歩いていた時に板に抜けられなくなったサスケを見つけたんです。
助ける事は出来たんですけど…
それと同時に板が俺の目の前に倒れてきたんです」
『………』
「でもそこで俺は助けられました。
このボール…
いや、ある人に……」
『………天馬』
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作者名：れいにゃん | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/my.php
作成日時：2018年3月21日 1時
